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「完全な匿名性」は福音となるか

Freenetバージョン0.5がリリース〜“第二のインターネット”を試みる

■URL
http://freenetproject.org/cgi-bin/twiki/view/Main/WebHome

 Freenetプロジェクトは28日、Freenetのソフトウェアとしては14カ月ぶりの安定版となる「Freenetバージョン0.5」をリリースしたことを発表した。FreenetはP2P技術を使ってインターネット上に完全に匿名の“第二のインターネット”を構築しようとする野心的な試みである。

 P2Pソフトウェアとして著名なNapsterやKaZaA、WinMXなどと異なり、Freenetはファイル交換を目的としたシステムではない。実際Freenetバージョン0.5にもファイルを検索したりする仕組みは用意されておらず、別のソフトウェアをインストールしなければファイル交換用途に利用することはできない。

 NapsterやKaZaAのようなファイル交換ソフトウェアでは、コンテンツをアップロード、またはダウンロードするユーザーのIPアドレスは、ISPを通して容易に追跡することができるため、手間はかかるものの「全く匿名」ではない。しかし、Freenetのネットワークではコンテンツに何をアップロードしようとしているか、誰がそのハードディスク領域を提供しているかといった情報すべてが暗号化されているため正確なノード数を調べることすらできず、「完全な匿名」を実現しているという。

 Freenetプロジェクトは元々スコットランド人の大学院生Ian Clarke氏の論文に由来するものであり、政府などの権力による検閲を回避するための技術的な解決策として提案され、開発されてきたものだ。こうした完全な匿名性を実現することに関しては犯罪行為や著作権を無視した海賊版の流通を助長するものだと非難する声も多い。これに対してFreenetプロジェクトでは「言論の自由を実現するもの」との立場を崩しておらず、テロリストはFreenetなどを利用しなくても別の秘密のネットワークを利用するだろうと推測している。

 現在のところFreenetプロジェクトはいまだ実験段階で利用者数も少なく、こうした問題が実際に生じた事例はないと考えられているが、将来問題が生じた場合、世論がどのような反応を示すか予測することはできない。一方、全く検閲されることなくインターネット放送を行なったり秘密文書を公開できることから、政府による検閲が厳しい国の中でFreenetが受けいれられ始めているとの情報もある。Freenetが安定版をリリースすることにより利用が広まる結果として、どのような議論が生ずるかに注目が集まりそうだ。

(2002/10/29)

[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)]

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