【事件】
スウェーデンのIntentia社が英Reutersを不正侵入の疑いで提訴■URL スウェーデンのIntentiaは28日、スウェーデンの国家犯罪捜査庁コンピューター犯罪課にコンピューター情報の違法利用に関して被害届を提出したことを発表した。Intentiaは、26日に英大手通信社のReutersがIntentiaのサーバーに不正に侵入し、予定されていた決算発表の時刻より前にIntentiaの決算情報を入手してニュースとして配信したとの内部調査の結果を発表していた。Intentiaは企業用コラボレーションソフトを開発している大手IT企業である。 Intentiaの主張によれば、Reutersに属するIPアドレスから10月24日午後12時51分に不正侵入があり、同日12時57分にReutersはIntentiaの第三四半期決算発表のニュースを配信した。これはIntentiaが決算発表を実際に行なった午後1時22分より前だったとしている。 こうした結果はIntentiaの内部調査の結果判明したもので、Intentiaのコーポレートインベスターリレーションズ担当Thomas Ahlerup氏は「調査は詳細にわたって行なわれ、すべての該当するスタッフと機密情報を扱うプロセスと技術的なセキュリティーが調査に含まれている」としている。 この結果に対してIntentiaのCEOであるBjorn Algkvist氏は「我々はReutersが使用した方法を疑問視しており、違法な行動をとったという可能性を除外することができないというのが我々の結論である。結果としてこの事件を犯罪として提訴する」と激しく抗議している。またIntentiaは、上場しているストックホルム証券取引所に対して内部調査の結果を報告し、同様の事件が他の企業に対して起きないよう警告している。 これに対してReutersは28日声明を発表し「Intentiaの主張には実体がない」とした。Reutersの主張によれば、Reutersストックホルム支社がIntentiaの公開されているWebサイトを閲覧し、Intentiaが発表していた時間より以前にそのWebサイトでIntentiaの決算発表の情報を発見したという。この情報は公のインターネット上で発見されたもので、プライベートな領域のものでもパスワードで守られたサイトでもなかったとしている。 Reutersの編集長Geert Linnebank氏は同社の報道姿勢について「合法的かつ倫理的な方法で、ジャーナリストとしての誠実さを抱いて行なっている」とコメントした。 この事件の真相は裁判で争われることになるが、重要な企業情報を扱うWeb管理責任者の責任の重さと、インターネットで情報を収集する機会がますます増えているジャーナリストの誠実さが問われている事件と言えよう。 (2002/10/29) [Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)] |
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