【調査結果】
「音楽のネット配信売上減少はファイル共有サービスと関係がある」~米調査■URL 調査会社の米comScoreは4日、Eコマースのほとんどの分野で成長が見られる中、音楽のネット配信だけは3四半期連続で減少を続けており、その間ファイル共有サービスの利用者数は増加しているとの調査結果を発表した。 この調査は、レコード店などで販売されるCDなどの音楽商品と、インターネット上で配信される音楽商品とを区別し、音楽のネット配信の減少のデータとファイル共有サービスとの関係を分析したもので、その点でこれまでの多くの調査とは異なっている。 この調査結果によると2002年第三四半期の音楽のネット配信による売上は、5億4,500万ドルで前年同時期に比べて25%減少していた。実際のところ2002年を通して音楽のネット配信売上状況は減少を続けている。2002年の第1、第2、第3四半期の売上を前年と比べてみると、それぞれ12%、28%、39%減少していた。一方、その同じ期間にオンラインで販売される他の商品の売り上げはそれぞれ30%、28%、30%増加している。 comScoreはこの調査結果を全米レコード協会(RIAA)とPricewaterhouseCoopersが共同で実施した調査結果と比較している。RIAAが2002年8月に報告したところによれば、米国の音楽全体の出荷状況は2002年前半期に1年前に比べて7%減少したが、今回のcomScoreのデータでは、その同じ時期にネットで配信された音楽だけを見ると20%減少したとしている。 これについてこの調査を担当したcomScoreの子会社comScore Media Metrixの社長Peter Daboll氏は「音楽業界はオンラインとオフラインにおける音楽販売の減少理由として複数の要因、例えば景気の減退、ヒット曲が少なかったこと、海賊版、CD-Rへのコピー、ファイル共有などを挙げている。確かに消費者の行動には多数の要因が必然的に関係しているが、comScoreが報告したようなオンラインにおける売上のより大きな減少傾向は、インターネットにおけるファイル共有とCD-Rへのコピーが特にインターネットユーザーの中で音楽販売にネガティブな影響を与えていることを示唆している」と分析している。 この同じ時期にファイル共有ソフト「KaZaA」と「Morpheus」の利用者数は2001年第2四半期には合計で100万人に満たなかったものが、2002年第1半期までにはKaZaAが460万人、Morpheusは710万人にまで増加していた。2002年第三四半期の終りごろにはKaZaAは平均して940万人のアクティブな利用者がいた。最も多く利用されている六種類のファイル共有アプリケーションの利用者数は2002年9月には1,400万人に達したとされている。 (2002/11/5) [Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)] |
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