【業界動向 / 規格】
2003年春ごろにソフトウェアアップグレードで対応WEPに代わる強力な暗号規格「WPA」、Wi-Fi Allianceが発表■URL Wi-Fi Allianceは、無線LANインターネット接続の機密保持を担ってきた「WEP」(Wired Equivalent Privacy)に取って代わる強力な新暗号化規格「WPA」(Wi-Fi Protected Access)を発表した。この新しい暗号化規格は、市場に出回っている製品にソフトウェアやファームウェアをアップグレードするだけで対応でき、2003年の2月から4月ごろにはベンダーが対応を始める予定となっている。 Wi-FiはIEEE 802.11bや802.11aなどの無線LAN通信標準規格で、Wi-Fi Allianceは各メーカーが開発した機器の相互接続性を確認するための業界団体である。Wi-Fiでは無線通信が簡単に傍受できるために、セキュリティーメカニズムであるWEPを導入しているが、ハッカーや暗号研究者が研究を進めた結果、これには問題があることが判明した。現在しかるべき機器とソフトウェアを使えば、長くて数日、早ければ数時間でこの暗号を解読し、Wi-Fiの通信内容を解読できてしまう。このためWi-Fiは普及しているものの、機密保持が必要な文書の通信などには適していなかった。今回発表されたWPAはこれを大幅に改良したもので、Wi-Fi Allianceの発表では、これまでWEPに対して有効だとされてきた暗号解読手法もWPAに対しては通用しないと多くの暗号研究者が考えているという。 WPAはIEEE標準化委員会で仕様策定が進められている802.11i標準規格のサブセットという位置づけにある。将来的にはすべてのWi-Fi機器が802.11iを採用すべきだとされているが、この標準規格仕様が確定するのは2003年の終わりごろと考えられている。それまでの間Wi-Fiの脆弱性を放っておくことができないため、Wi-Fi Allianceの会員企業がそのサブセットであり、ソフトウェアでアップグレード可能なWPAを開発したという経緯がある。なお、将来802.11i規格を導入するためにはハードウェアによるアップグレードが必要になると考えられている。 この発表についてWi-Fi Allianceの議長であるDennis Eaton氏は「大企業、中小企業、ホームユーザーはWEPよりも強力なセキュリティーソリューション標準規格を今すぐに必要としているのだ」とコメントし、Wi-Fiのセキュリティーをこれまで以上に強化していく方向性を明らかにしている。 (2002/11/5) [Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)] |
|