【新技術】
コンテンツを織り込むバーコード技術
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携帯電話の液晶に表示したコードでデモを行なうキム・インホCEO(右)とインホベイションの磯崎太一マネジャー
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インホベイションはドイツ企業Inhovation Technologies社の日本法人。独社が開発した技術「matriXign」は、白黒の2次元バーコード画像(以下“マトリックスコード”)のなかにファイルやコンテンツを織り込むもので、通常のプリンターやスキャナーでの印刷・読み込みが可能だ。このマトリックスコードの中に電子署名ファイルを織り込むことで、電子署名を行なった文書を、その署名が有効なまま紙に印刷し、配布や保存が可能になるという。認証の際には、スキャナーで紙面のコード部を読み込み、同社ソフト「matriXign READER」(無料配布予定)を利用して、元のファイルを再現できる。マトリックスコードは解像度600dpiで18cm×2cmの場合、Wordファイル数ページ分の情報を収録できるという。また携帯電話やPDAの画面に表示したマトリックスコードを読み込むことで電子チケットサービスに利用したり、紙のグリーティングカードに印刷したコードをWebカムで読み込んで、ボイスメッセージをPCから再生させたりといった使い方も可能だ。
7日に開催されたセミナーでは、独社CEO兼CTOのキム・インホ氏が「『matriXign』を利用することで、紙がFDやCD-ROMのようなディスクとしての機能を持つようになる」と発言。電子→紙のようにメディアが変わる場合に電子署名などが無効になる“メディアブレイク”に対し、「matriXign」は“メディアブリッジ”を行なえる技術であることを説明した。紙の書類への印鑑や署名に比べると認知度が低い電子署名の普及を広め、また証明書分野だけでなく、IDカードやストレージなど他方向で活用できる技術という。さらに同氏はファイルをマトリックスコード化できる製品「matriXignOFFICE」と、デコード機能を持つ「matriXign READER」を用い、その場でマトリックスコードの生成や印刷、復元を行なうデモを披露。マトリックスコードが多少汚れたり破けたりしていても、元コンテンツを再現できる様子を見せていた。
Inhovationは現在ドイツ、韓国、台湾などでパートナー企業と提携した展開を行なっていて、韓国の認証局であるKICAとの協業、また台湾政府との共同プロジェクトが進んでいるほか、eチケットなどのサービスも各国企業と共同で実施しているという。現在日本でのパートナー企業を求めている段階で、日本での本格的な展開の後、2003~2004年には米国、中国への進出を目標としている。
書類下部にマトリックスコードを付加(左)。右は「matriXign」の利用モデルズ |
(2002/11/7)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]