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【連載】検索エンジンの裏側 第10回 Yahoo!のOverture買収で浮上した3つの疑問

【業界動向】

Yahoo! BBの損益分岐点は200万ユーザー
~事業戦略説明会にて明らかに

■URL
http://www.bbtec.net/

 BBテクノロジー株式会社は、報道関係者やアナリスト向けに事業戦略説明会を開催し、Yahoo! BBの経営戦略などの説明を行なった。孫正義社長が考える損益分岐点は200万ユーザーであることと、1ユーザーあたりの収入が伸びていることなどが明らかにされた。

 孫氏は、冒頭で一日あたりの新規ユーザーの獲得数のグラフを提示した。現在、Yahoo! BBは1日あたり平均1万件の新規ユーザーを獲得、先週の週末には1日で1万6,000件のユーザーを獲得したという。また、この獲得数も2カ月前までは5,000件くらいだったものが倍増し、10月の新規ユーザー獲得数で全体の47%のシェアを占めているのだという。

 また、解約率の低さについても挙げ、9月と10月の解約率は約0.9%であるとした。孫氏は解約率を「究極の満足度調査」とし、「他社と比較して低い解約率はYahoo!BBがユーザーにとって満足のいくサービスであることを示している」と強調した。さらに、0.9%のうちの半数は転居などによる解約だとして、11日付けで移転手続を開始した後はさらに下がる可能性があると予測を述べた。

 料金についても「最も大事なのはトータルコストだ」とし、Yahoo! BBだけでなく、BBフォンによる音声通話料金の低減効果も合わせて評価されていることを挙げた。BBフォンの課金ユーザーによる通話料は月々平均で1,100円。一般の加入電話を利用している場合の平均月額4~5,000円に比較して大幅に安くなっている例を示した。

 BBフォンをはじめとする付加サービスのおかげで、1ユーザーからの収入は競合他社よりもYahoo! BBが最も高くなっているという。ユーザーは無線LANサービスを利用する場合で、平均通話料の1,100円を加えて合計で約5,460円を支払うことになる。孫氏は「NTT東西で約3,000円、ホールセール事業者で約2,000円程度」と例を挙げ、他社よりも高い売上を得るビジネスモデルを構築していることを強調した。

 さらに、孫社長は、顧客獲得費用を含めない損益分岐点については200万ユーザーであると発言、顧客獲得費用については、広告宣伝費やモニター通話料原価、キャンペーン費用などで1件あたり約2万円かかっているという。この数値を損益分岐点に含めないことについては「獲得したユーザーは100カ月利用するので、単月でなく月々で割って算定する」という持論を述べた。一般的な会計では顧客獲得費用は単月で算定するが、孫氏によると、獲得したユーザーは長期に渡って利用するため、100カ月利用した場合で月間200円とわずかな金額になるという。

 また、キャッシュフローにおいても、2003年度には単月黒字化を達成、拡販施策や設備投資を行なうための資金調達についても目途がついているという。

 同じ場で発表された「BBケーブルTV」についての目標について記者から問われると「やってみないとわからない」として具体的な数値を挙げることは避けた。しかし、ビデオオンデマンド方式による配信は、レンタルビデオよりも気軽に借りる優位性があるとして、レンタルビデオよりも金額の上乗せが期待できるという予測を示した。

 最後に、今後展開するサービスについては「極秘で準備はしている。発表したときは即サービス開始というスタイルをとる」と、従来からの方針を繰り返し、「技術のYahoo! BBと言われたいので、最先端の技術を提供していきたい」と希望を述べて説明会を締めくくった。

(2002/11/13)

[Reported by 正田 拓也]

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