【業界動向 / 新製品】
P2Pと無線技術により自己組織化、自己修復する無線ブロードバンドネットワークを構築“アドホックP2Pネットワーク”の米MeshNetworksが製品を初出荷■URL P2P企業の米MeshNetworksは18日、“アドホックP2Pネットワーク”を構成する同社の一連の製品群を初出荷したことを明らかにした。同社では、この製品の最初の出荷先として「世界で最大の自動車企業の一つ」「世界最大の家電メーカーの一つ」「国際的に認知された無線システムメーカー」「防衛、防災インテグレーター4社」「有名なワイヤレスISPと公衆モバイルデータサービスプロバイダー」などであるとし、高い注目を集めていることを示唆している。 MeshNetworksの技術は、P2Pと無線技術を使って自己組織化、自己修復する無線ブロードバンドネットワークを構築するというものだ。これによりインターネットに接続されていない人やモノが多数集まっている広場や市街地、高速道路などといった場所で自動的に6Mbpsで通信できる無線ブロードバンドネットワークが生成される。このピアの一つが無線ルーターなどを通してインターネットに接続すると、自己組織化ネットワークを通して接続された他のピアも“外”の世界に向かって高速データ通信を行なうことができるほか、途中のピアで障害が生じた場合にも自己修復することによりネットワーク状況を維持するようにする。 こうしたいわゆるアドホックP2Pネットワークには多くの応用があると考えられている。例えば、MeshNetworksのソリューションを購入したViasys社では、自動車のITS技術にMeshNetworksの技術を応用しようとしている。同社の社長兼CEOであるLance McNeill氏は「9月11日以前にはITSは渋滞を減らし、自動車を利用する人々の安全を増すための方法だった。今日、それは国家の輸送インフラを安全にするための不可欠な構成要素であり、都市部から緊急避難するためのたった一つの方法である。ITSはお互いが交信するために広帯域の通信を必要とするが、MeshNetworksの製品はトラフィックに与える影響をできるだけ少なくした上でこれらのシステムを、より高速に接続できるようにする」と利用方法について説明した。さらに軍隊や災害救助隊など、緊急の場面でも各隊員が装備するMeshNetworksの機器により自動的に無線ブロードバンドネットワークが構築されることにより、高速通信環境を高速に立ち上げることができるというメリットも考えられている。 なお、MeshNetworksは今回の製品出荷と同時に、組織変更を行なったことを明らかにした。新しいCEOとなったMeshNetworksの共同創設者Richard Licursi氏は「この発表は偉大なテクノロジーを持っている企業から偉大な製品を届けられる企業へと成功裏に移行したことをはっきりとさせた」と喜びを表した。 (2002/11/19) [Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)] |
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