【実験】
~日米間1万km離れた地点で、707Mbpsのデータ転送を実現産総研など、グリッド技術を利用した18TBのデータ高速処理に成功■URL 独立行政法人産業技術総合研究所グリッド研究センター(以下、産総研)などは、日米7拠点を接続した高速ネットワーク上に構築したグリッド環境下での、大規模データ解析の実証実験に初めて成功したと発表した。この発表は、米国で開催中の国際会議「SC2002」にて、現地時間11月20日に発表されたもの。 実験は、日米7拠点に設置された計190台のPCをグリッドデータファームによって統合し、18テラバイト(TB)のデータを高速処理するというグリッド環境の構築に、始めて成功したというもの。グリッドファームとは、TBやペタバイト(PB)規模の大規模データに対する高速処理を安全に共有することなどを目的としたグリッド技術だ。素粒子物理学や天文学の観測データ解析、遺伝子解析、および電子政府や電子商取引などのビジネス分野での応用が見込まれているという。 実験が行なわれた7拠点は、それぞれ産総研、高エネルギー加速器研究機構、東京工業大学、東京大学、Indiana大学、San Diego Supercomputer Center、国際会議SC2002会場となっている。また、この実験が行なわれた際に、1万km離れた日米間において、初めて実効データ転送速度707Mbpsを達成したという。 この実験で使われたネットワークは、国内が「つくばWAN」と「SuperSINET」、日米間が「APAN/TransPAC」と「NII-ESnet HEP PVC」、米国内は「Abilene」や「Esnet」などの高速広域ネットワークが用いられたという。具体的には、素粒子実験を模擬した大規模データを主に東京工業大学の大規模PCクラスタで作成し、他の拠点のPCクラスタには数百GB規模の複製を用意して行なわれた。これら複数のPCクラスタ間にて、TB規模の大規模データ処理の実験が成功したという。 今後は、今回の日米間以外に欧州も含めた世界規模のグリッド環境下により、更に大規模な実証実験を進めるという。産総研によると「当面は、欧州を含めて実験規模の拡大や、高速化を目指した研究を進めていくが、将来的にはセキュリティー面などの問題を克服した上で、民間ネットワーク下での活用も考えていきたい」とのこと。 (2002/11/21) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
|