【イベントレポート】
関西最大級のIT見本市が開催
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全方位画像システムのカメラと利用デモ | 指の血管で個人認証を行なうバイオニクス |
関電情報システムはカード型CD-ROMの自販機を設置し、1枚200円で販売 | 松下電工と共同で、大規模な立体視システムのデモを行なった日本sgi |
●SOHOや起業家が数多く出展~インターメディアフォーラム
「インターメディアフォーラム2002」では、展示エリアに出展する55ブースのうち、半数以上の39ブースが「起業家・SOHO・研究者部門」という個人レベルでの出展で、これがこのイベントの特色にもなっている。小さいながらも個性的なビジネスアイデアが並んだブースは多くの来場者の関心を集め、熱心に話し込む姿があちこちで見られた。
“カンデジ”の名称で知られる関西ソーホー・デジタルコンテンツ事業協同組合は、クリエイティブ、ソフトウェア、Flashの3つの分科会でそれぞれ出展。代表の渡辺康一氏によれば、組合は今年に入って一気に会員数が増えており、「今後はもっと裾野を拡げて、多くのSOHOがビジネスチャンスをつかむような会にしていきたい」と抱負を語った。具体的には、Flashを使ってトータルなWebソリューションを提供できるシステムの開発などを進めているという。
SOHO規模の企業ながら、Web上で使える3Dカタログ開発をトータルに請負うシステムを提供しているのがWISE SIPSだ。代表の矢田正樹氏は、学生時代からシステム開発に着手しており、本格的な営業をスタートしたところである。「似たようなシステムはすでにあるが、技術開発の結果、コストを抑えながらも質の高い3Dカタログが制作できるようになってきた。ブロードバンド時代になり、利用者が増えるこれからがビジネスチャンスだと考えている」と語る。
いなかどっとコムというユニークな名前の会社が出展している「サイトグラム」は、Webサイトのアクセス状況をビジュアル動線を使って解析するサービスだ。顧客がページをジャンプする流れやパーセンテージ、アクセスした際のキーワードなど、Webサイトのマーケティング的な分析に必要な要素が、図解レポートとして提供される。代表の石井研二氏は「従来のサイト解析はプログラマやシステムエンジニアのためのものだったが、これからはマーケティングのためのサイト解析が必要。分析も過去のノウハウがあるからこそできるので、他社もすぐにはマネできないだろう」という。同社サイトではお試し解析も可能だ。
“カンデジ”代表の渡辺氏は、トレードマークの羽織袴姿でアピール | WISE SIPSによるWeb3Dカタログのデモ | 開始したばかりのサイトグラムだが、すでに大手企業からの引き合いが多いという |
●実力派の韓国IT企業が見せるユニークな製品~韓・日IT/文化産業Business Fair
同じく併催の「第4回韓・日IT/文化産業Business Fair」は、韓国政府がIT関連の優良企業を選び、日本進出を支援するためのイベントである。昨年までは東京で開催されていたが、昨年10月に太田知事が訪韓し、金大中大統領に韓国ITベンチャー企業の大阪進出を働きかけたのをきっかけに、今回初めて大阪で開催されることとなった。eラーニングや電子商取引システム、ネットワークセキュリティーシステム、オンラインゲームなどの技術を持つ企業29社が出展。いずれも関西地域でのビジネス進出を目指しており、すでに大阪市内に事務所を持つ企業もあった。
出展内容は、韓国企業が得意とするオンラインゲームやストリーミング技術が多いものの、ユニークな製品やサービスシステムの出展もあった。deocom社では、シースルー型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と、TVチューナーなどを内蔵したコンパクトPCを組み合わせた製品を出展。仮想視距離約2メートルで80インチ相当の画像を見ることができ、TVはもちろん、将来的には携帯電話と接続して、携帯キャリアによるビデオオンデマンドサービスなどに対応するという。展示はプロトタイプのみでサイズが大きく、製品としてはいまひとつだったが、来年早々には軽量なサングラス型HMDが完成するということで、来場者の注目を集めていた。
Bebecom社では、患者や家族がオンラインで電子カルテをチェックしたり、病院の赤ちゃんの様子を見たりできるシステムを展開している会社だ。ユーザーはプリペイドカードで料金を支払って利用する。べべコムは病院向けにこのシステムを提供中で、病院側はハード的なコストをかけずに利用できる。日韓両方でビジネスモデル特許を申請中だが、すでにサービスインしている韓国では大好評で、システムの設置が順番待ちになっている状況という。
同じ医療でも、歯科医向けのシステムを提供しているのが10DR社である。インプラントを行なう際に必要な義歯の整形や位置の決め込みを、レントゲン写真をスキャンしてオンライン上で確認できるようにしたもの。ほとんどがASPで提供できるため、病院内に大掛かりなハードを設置しなくていい点が特徴だ。
韓国では、携帯電話とICチップを組み合わせたオンライン決済サービスがすでにスタートしており、会場でも2社が出展していた。どちらも特殊な携帯電話端末が必要なわけではなく、ICチップを後からバッテリー部分やフリップの部分に貼り付けるだけで利用できる。データは赤外線通信でやりとりされ、簡単、安価で安全にシステムが構築できるのがウリだ。INITECH社は韓国で最もよく使われているオンライン決済システムを開発していて、SKテレコムと提携し、クレジットカードと携帯電話の両方で決済可能なシステムを約100ドルからの価格で提供している。LGテレコムと提携しているKatis社は、タクシーのナビゲーションシステムと連動したシステムを出展。タクシーの料金は携帯電話の支払い時に一括してできるサービスまでをトータルに提供している。
今回、出展のあった企業のほとんどが韓国内でビジネスの実績を持っており、その実力が関西マーケットを土台に開花できるか、今後に注目したいところだ。
「Digital Ware Osaka 2002」、「インターメディアフォーラム2002」、「第4回韓・日IT/文化産業Business Fair」はいずれも11月29日まで、大阪市中央区のマイドームおおさかで開催中だ。
bebecomの赤ちゃんモニターシステム | INITECHのハイブリッド型携帯電話決済システム | Katisはタクシー向けの携帯電話決済システムを紹介 |
(2002/11/28)
[Reported by 野々下 裕子]