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米研究者が指摘、ネットワークは主要な都市に集中しすぎないようにと警告

「ハブ都市」の災害によってインターネット全体が影響を被る可能性

■URL
http://www.osu.edu/researchnews/archive/intsurv.htm

 米国の主要都市にある通信機器がテロ攻撃や災害などによって破壊された場合、米国全体のインターネットトラフィックに大きな影響を与える可能性があることがオハイオ州立大学の研究者の研究結果によって明らかになった。

 この研究は、Ohio State University地理学部のMorton O'Kelly教授とAlan Murray助教授、University of Cincinnati地理学部Tony Grubesic助教授によって行なわれたもので、Telematics and Informatics誌2003年2月号に掲載される予定だ。

 この研究では、もしインターネットの主要なノードが災害によって損われた場合に何が起こるかを実験した。その結果、たとえそれらノードが破壊されたとしてもインターネット全体のトラフィックは流れていくものの、機能の幾らかは損なわれることになる。また、主要なハブ都市に接続されている周辺の中小都市は、インターネット全体から完全に切断されてしまうとしている。

 インターネットの前身となったARPANETは、米国への核攻撃時にも通信可能な分散構造をとるよう設計されていた。しかし、インターネットが商用化されるにつれてバックボーンを提供する主要なネットワークプロバイダーが主要なハブ都市を通して通信が行なわれる「ハブ&スポーク」モデルをとるようになってきたという。

 Grubesic氏によると、米国内でもし通信機器に損害が生じた場合に最も大きな影響を与えるインターネットハブは6カ所あり、それはロサンゼルス、ニューヨーク、アトランタ、ダラス、シカゴ、ワシントンDCである。例えばロサンゼルスは南方と西方にある大都市を結ぶ主要なハブの一つだ。もしロサンゼルスのインターネットノードが破壊されたらカリフォルニアにある主要都市はインターネットから切断されるだろう。さらにラスベガス、フェニックス、ツーソン、デンバー、ダラス、ヒューストンなどの都市でインターネットに接続しにくくなる可能性がある。

 現在米国のインターネットのバックボーンを提供している40のネットワークプロバイダーは、もし何らかの災害が生じた場合にそれぞれのトラフィックを助け合うよう合意しているが、それぞれのネットワークが主要都市などにハブを集中させているため、災害の影響を受けないですむことはないだろう。そのためGrubesic氏はネットワークは主要な都市に集中しすぎないよう注意するべきだと警告している。

(2002/12/5)

[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)]

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