【サービス】
NTT-BP、公衆無線LANサービス「無線LAN倶楽部」を12月21日開始
NTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)は、公衆無線LANサービス「無線LAN倶楽部」の正式サービスを開始すると発表した。サービス開始は12月21日を予定、申し込みを12月10日から受け付ける。月額料金は1,500円。 無線LAN倶楽部は8月1日から11月30日まで試験サービスとして実施されており、NTT-BPでは期間中に行なったアンケートの結果などから一定の評価を得たと判断、正式サービスを開始したとしている。 正式サービスで利用できるのはIEEE 802.11bに準拠した無線LANおよびPDAから利用できるコンテンツ配信サービスの「コンテンツシンクロサービス」。試験サービス中に行なっていた5GHzを利用した最大36Mbpsの通信が可能なHiSWANa(High Speed Wireless Access Network type a)はユーザー向けのサービスとしては提供されず、NTT-BPで継続して検証を実施、これについては無線LAN倶楽部のユーザー向けにHiSWANaのモニターを募るといった試験サービスなども検討しているという。
コンテンツシンクロサービスは配信システムにビーマップの「AirCompas」を採用し、PDAから簡単な操作でコンテンツをダウンロードできるサービス。AirCompasの更新ボタンをクリックすることで、更新されたコンテンツのみを自動で取得できる。サービスを利用できるPDAはPocket PC搭載機のみだが、対応PDAは順次拡大していくという。 サービス提供エリアは試験サービスから引き続き京王電鉄、京浜急行電鉄の駅および駅周辺エリア。サービス開始当初から無線LAN倶楽部を利用できるエリアは京浜急行電鉄が上大岡駅、品川駅、YRP野比駅、須賀リサーチパーク内にある「レストラン ローズテリア2」、品川にある「ホテルパシフィック東京」。京王電鉄が新宿駅、府中駅、聖蹟桜ヶ丘駅、新宿の京王プラザホテル。サービスエリアは各電鉄とも2003年3月までに9駅まで拡大、その後も乗降客数などを踏まえた上で拡大していく予定。 サービスに必要な料金は契約料が1,500円、月額料金が1,500円で、決済にはクレジットカードを利用する。なお、法人向けの請求書発行を含めたサービスの場合は月額1,600円。月額料金のみで「時事通信ニュース」「今日のスポニチ」「ウェザーゲート」といったコンテンツを利用でき、そのほかにも「PDA読売」「PDAフライデー」といった有料コンテンツを用意。サービス開始は12月21日を予定、申し込みは12月10日より受け付ける。 サービス開始にあたってキャンペーンも実施される。12月10日から12月30日の期間に無線LAN倶楽部に申し込んだユーザーは契約料と2003年1月分の月額料金が無料になるほか、2003年2月28日までに申し込んだ場合も契約料のみ無料となる。さらに12月15日まで申し込んだ希望者の中から抽選で40名にプラネックスコミュニケーションズのCF型無線LANカード「GW-CF11H」が貸与される。 NTT-BPの小林忠男社長は、「第1の目標は1人前の事業として立ち上げること」とコメント、サービス提供エリアを限定し、サービスの対象も駅を頻繁に利用するユーザーに絞り込むという方向性を明らかにした。また、従来からNTTグループが持つサービスの自前主義と比べて無線LAN倶楽部を「みんなでいいところを持ちよるスタイル」と表現、今までのNTTグループにはなかったサービスと語った。 無線LAN倶楽部では試験サービス期間中にNTTコミュニケーションズのHOTSPOT、NTT-MEのネオモバイルとアクセスポイントの相互乗り入れを行なっており、ローミングに対しては積極的に提携していく方向だという。提携相手は「まずはNTTグループから」という考えのもと、HOTSPOTとネオモバイルについては「無線LAN倶楽部の正式サービス開始に合わせてローミングの発表をしたかった」とコメント、近いうちに何らかの発表ができる予定とした。 サービスエリアの拡大については、京王電鉄、京浜急行電鉄以外の私鉄とも話を進めているという。逆に他の公衆無線LANサービスによる京王電鉄、京浜急行電鉄へのエリア展開について京王電鉄の後藤順滋情報ビジネス開発チーム次長は「他サービスによる電波干渉が発生すれば無線LAN倶楽部のユーザーに対してデメリットが発生するため、十分に検討する必要がある」とした一方、京浜急行電鉄の植田尚裕情報ビジネス企画部長は「駅構内の安全上の問題からも、現在のところはNTT-BPとのサービス提供しか考えていない」とコメントした。JR東日本でのサービス提供については「今のところ話はしていない」という現状を明らかにしたうえで、NTT-BPの小林社長は「電車の乗り換えなどユーザーの利便性を考えるなら、ぜひ対応していきたい」と語った。 また、将来的には無線LANを利用したIP電話サービスや、沿線情報などを提供するコミュニティサービスも予定。IP電話については「発信重視のコミュニケーションツール」という位置づけのもと、音声の遅延やメーカーの異なるPDAの接続性などを検討、商用サービスとして提供できるクオリティ技術的課題などをクリアする必要があるとした。 さらにビジネス向けによりセキュアな通信方法や、オンラインストレージサービスなども検討しているという。加入者の目標については「ひとつの目安」とした上で、各路線につき5年後に5万人という数字を挙げた。これは両路線ともに乗降客全体の数%程度の数字であり、PDAの普及や携帯ゲーム機の無線LAN対応など、インターネット文化の変化も視野に入れながらサービスを展開していくという。 (2002/12/10) [Reported by 甲斐 祐樹] |
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