【政府】
アジアが世界の情報発信拠点の一つに~「アジア・ブロードバンド戦略会議」■URL
総務省が主催による「アジア・ブロードバンド戦略会議(以下、戦略会議)」と「アジア・ブロードバンド計画研究会(以下、計画研究会)」は、12月16日に開催された戦略会議の第二回会合において取りまとめられた議長総括や報告書を発表した。 総務省では、「e-Japan重点計画-2002」などに盛り込まれた「アジア・ブロードバンド計画」策定についての基本方針を提言する場として、戦略会議を開催した。また、戦略会議での提言など具体的な計画内容などを検討する場として、総務審議官主催で計画研究会を開催し、検討を行なっていた。今回、戦略会議や計画研究会が議長総括や報告書を発表したのに伴い、同省ではこれらを踏まえた「アジア・ブロードバンド計画」を本年度中に策定する予定。 議長総括では、まず基本認識として、アジア地域は地理や文化・言語などにおいて多様性に富んでいると同時に密接な関係にあり、近年ではワールドカップのように国境を越えた共催も盛んであるとした。また、韓国をはじめとして、台湾、香港、日本はブロードバンド普及率で世界でも上位となっており、特に日本は世界で最も低廉な水準で利用できる国となっている。その反面、発展途上国との間でインフラ面を含めたデジタル・デバイドが依然として解消されていない点や、貿易額は北米や欧州と同程度なのに比べて、情報流通量では北米・欧州間より格段に少ない点が懸念されている。 これらを踏まえて議長総括では、ブロードバンドを“21世紀のアジアの発展基盤となるもの”として位置付け、これによりアジア域内やアジア・世界間の情報流通量を増大させ、「アジアが世界の情報発信拠点(国際情報通信ハブ)の一つとなることを目指す」という。 次に提言として、7つの“目標”と12の“主な施策”を挙げている。目標では、「アジアが世界の情報発信拠点になる」というメイン項目を踏まえた上で、具体例を挙げている。その中では、まずアジア各国においては早急にブロードバンド利用者数等についての目標を設定するなどして、「アジア全ての人がブロードバンドにアクセスできるようにすること」を目指すという。これに伴いアジア域内のトラフィック増加が想定されるために、アジア域内を結ぶ国際的なIXを整備し、最終的にはアジア・北米間やアジア・欧州間の情報流通量を、北米・欧州間と同等レベルまで上げることを目指す。また、IPv6ネットワークへの移行推進や、アジア各国の文化的財産のデジタルアーカイブ化も目標に含められている。 これらの目標を達成するために、戦略会議では12の施策を提示した。施策では、目標に挙げられた国際ネットワークの整備や、開発途上国におけるネットワーク・インフラ整備なども含まれている。中でも特徴的なのは、アジア多言語環境への対応だ。アジアでは、欧米間での英語のような共通語と呼べるものがなく、それが情報流通の妨げとなっている。そのため同会議では、多元語間における機械翻訳や検索に関する技術開発の推進を提言している。また、デジタル・デバイド解消のためにも、ODA等の公的資金による更なる援助拡大を要求している。ODAに関する要求では、現在例外的にしか行なわれていない複数国に対するODA供給や、遠隔教育、遠隔医療など情報通信技術を活用したODA案件に積極的に取り組むべきだともしている。 最後に、アジア地域におけるブロードバンド環境の整備には「アジア・ブロードバンド計画」の実行を含め、日本がリーダーシップを取ることが重要であり、2003年1月に東京で開催されるWSISアジア地域会合では、日本が主導でアジア諸国の理解を得ながら本会合へと繋げるべきと忠言されている。 (2002/12/17) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
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