【業界動向】
~データセンターへの影響は?東京電力、原子炉点検による停電を避けるために節電を呼びかける東京電力が12月17日頃から新聞各紙などに広告を出して「節電」を呼びかけている。東京電力では、原子力発電所の不祥事に伴い、原子力発電所の原子炉17基のうち9基を止める保守点検を実施している。節電の呼びかけは、保守点検により、首都圏の1都8県への電力供給が厳しくなる可能性が否定できなくなったからだ。 東京電力では、19日にはWebサイトのトップページを全面的に「節電のお願い」に変更し、詳しい情報を提供している。停電が起こる可能性について参考となる「今後の需給状況」のグラフでは、「供給予備力」が12月は4%、1月は6%、2月は4%、3月は0%となっている。この供給予備力とは、平日昼間の気温が0度近くまで下がるような場合に考えられる最大の電力需要に対して、東京電力が供給できる電力がどれほど上回っているかを計る目安となっている。東京電力の広報によると、原子炉が稼働している通常の状態での供給予備力は「6%から8%、ベストの状態で8%から10%」としており、この数字を予測と比べると参考になるだろう。なお、このグラフは、あくまで東京電力の通常の発電力に基づく予測であり、今回の特別措置によって他の電力会社から融通される電力や、火力発電所の試運転によって供給される電力は含まれていない。 東京電力では「停電が起こるような事態は想定していない」としているが、万が一の事態を避けるためにも節電の呼びかけを徹底しており「使っていないパソコンの電源を切ること」「エアコンの設定温度を控えめにすること」「テレビやビデオの主電源を切ること」などをお願いしている。また、電力供給が厳しい状況に陥った場合には需給調整契約を結んでいる大口顧客にも協力を依頼するなど、万全の措置を取っているという。 なお、東電ではこれまで大規模停電などのトラブルに見舞われた場合に電気料金の割引をするなどの対応をしたことがある。今回の問題に関連しては、供給不足に陥った場合についての保証などについて、広報では「現在は電力を安定供給することが第一の義務であると考えている」と述べている。 インターネット関連では、万が一の停電の際にビジネス用途のサーバーを継続運用できるのかという点が気になるところだが、大手のデータセンター運営企業数社に問い合わせてみたところ、いずれの企業も燃料型の発電設備を備えているため、たとえ数日間停電したとしても、「災害などが発生せず、燃料が輸送できる状況である限り発電は続けられる」としている。そのため、自宅や企業などで重要なサーバーを運用している場合、こうした設備を備えたデータセンターを利用することで万が一のリスクを避けられそうだ。また、本流ではないが、小規模なサーバーの場合にノートパソコンを太陽電池で駆動する方法もある。 (2002/12/20) [Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)] |
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