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【連載】検索エンジンの裏側 第10回 Yahoo!のOverture買収で浮上した3つの疑問

【買収】

米Yahoo!が検索エンジンのInktomiを買収へ

■URL
http://docs.yahoo.com/docs/pr/release1050.html

 米Yahoo!とInktomiは23日、Yahoo!がInktomiを買収することで最終的な合意に達したことを発表した。Yahoo!はInktomiを1株当たり1.65ドルの現金で買収し、買収総額はInktomiの今年12月31日時点の予測される現金と債務に照らし合わせて調整されたうえで、総額2億3,500万ドルに達する見込みである。この取引は2003年第1四半期までに終了する予定だが、今後Inktomiの株主や当局の承認を得なければならない。

 Inktomiは、最近Verity社に対し企業向けの検索ビジネスを2,500万ドルで売却し、Web検索ビジネスに集中することを明らかにしたばかりだった。

 この買収についてYahoo!の会長兼CEO・Terry Semel氏は、Yahoo!がWebで最高のサーチソリューションを提供する目標を保持している事を指摘した上で「Inktomiのサーチプラットフォームを加えることで、この重要なビジネスをコントロールし、フレキシビリティーを持たせ、コンシューマーやビジネス双方に新しい、より革新的なサーチサービスを創造できる能力をもたらすことになる」とコメントした。

 Inktomiは1996年に設立され、90年代後半にはサーチエンジンとして最も信頼される企業の一つだった。その提携企業には、America Online(AOL)、Excite@Home、RealNetworks、iWonなどの大企業が含まれていた。今回買収を発表したYahoo!も、Inktomiの検索技術を使用していた。しかし、Googleが徐々にInktomiから顧客を奪い、AOL、iWon、そしてYahoo!もInktomiとの提携からGoogleへと切り替えた。

 Yahoo!は、Googleと提携することにより同社のディレクトリとGoogleの検索結果を統合し、多くの利用者に満足を与えてきた。Googleもまた、多くの利用者を持つYahoo!を通してGoogleのサーチサービスを提供でき、双方にとって利益を享受した。しかしながらGoogleのインターネット上での支配力が増すにつれて、Yahoo!の存在感が薄れてきたこともまた事実である。実際、Yahoo!の多くの利用者はYahoo!の的確な検索結果が実はGoogleによるものだということを知らずに利用しているが、そのことはYahoo!のビジネスがGoogleに依存し始めていることを象徴しているかのようだ。

 最近になってThe New York Times紙の著名なテクノロジー担当記者John Markoff氏は「Googleがインターネット経済を実質的に支配している」との内容の記事を掲載し、話題を呼んだ。こうした流れのなかでYahoo!とGoogleとの関係も蜜月ではないとの噂がささやかれ始めた。実際、今年になってYahoo!とGoogleとの提携契約が更新時期を迎えることになり、Yahoo!は他社と提携するのではないかとの噂が流れた。実際どのような交渉が行なわれたかは明らかになっていないが、一時期Yahoo!の検索結果に表示される「Powered by Google」の表記や表示位置が変更されるなど、こうした噂を裏付けるかのような出来事もあった。それでもYahoo!は現在もGoogleを使用している。Yahoo!がGoogleとの契約を更新したとの報道もなされているが、Yahoo!はこのことを公の場では発表しておらず、Googleとの契約がいつまで継続されるのかも明らかになっていない。今回のInktomi買収の発表でもGoogleとの将来的な関係については触れられなかった。

 今回Yahoo!の会長兼CEOであるTerry Semel氏が述べた「サーチビジネスをコントロールしてフレキシビリティーを持たせる」とのコメントは、Yahoo!が独自のアルゴリズムによる検索技術を持つことにより、インターネット上での立場を強化するための戦略と願望、そして現在インターネットで支配的な立場にあるサーチエンジンであるGoogleとの交渉を有利に進めるための“保険”であるとの見方をすることもできるだろう。

(2002/12/24)

[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)]

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