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謎のベンチャー米Thereが3D仮想世界を発表
〜仮想空間の中に“新しい社会”を構築

■URL
http://www.there.com/

 米Thereが8日、3Dオンラインコミュニティー「There」を発表し、パブリックベータテストを開始した。Thereは4年間にわたって開発を続けていたが、その間、欧米のメディアで“謎”のベンチャー企業として注目を集めていた。発表は、米ラスベガスで開催されているデジタル機器関連の展示会「Consumer Electronic Show」(CES)にて行なわれた。

 Thereは、基本的には3Dオンラインコミュニティーだが、チャットサービスやオンラインゲームなどの特徴を合わせた上で、ただそこに居ることを楽しみ、人々の間の社会的交際や物品の取引などを行なうことができる場所だ。したがってチャットを行なうこともできるし、そこで知り合った仲間たちと連れ立って冒険に出かけることもできる。また、そこで“物”を作って商品を販売することも可能だ。

 仮想空間の中の自分は、人間の形をした3Dのアバターで表現される。このアバターは髪型や顔を変えたり、服を着替えることも可能で、笑ったり怒ったりという感情表現ができる。

 この仮想世界の大きさは「地球くらい」であるとされており、将来大勢の人がさまざまな構造物を構築できる十分なスペースが用意されている。またこれらの空間を移動するためのバギーやホバーボードなどの移動手段のほか、直接他のゾーンに移動するためのテレポート機能などもある。

 この3Dコミュニティーでは、生活するために必要な仮想貨幣として「Therebucks」が用意されている。これは1ドル/1,787Therebucksの為替レートでクレジットカードを使って購入できるほか、仮想アイテムを他のメンバーに販売したり、仮想空間でイベントを開催したり、仮想空間の中で仕事をすることなどによって稼ぐことができる。将来的にはTherebucksを使ってThereの会費の一部に充てることも可能にする予定だ。


同社のサイトでは、多くの画面キャプチャーを見ることができる。

 Thereで遊ぶためには、Thereのサイトからプログラムをインストールする必要がある。使用環境はPentiumIIIの800MHz以上、256MB以上のRAM、400MB以上のHDD空き容量、56kモデム以上のインターネット接続環境、DirectX互換サウンドカード、ATI RadeonかnVidia GeForce、nForceグラフィックカード、Windows 98SEかWindows 2000SP1が必要だ。

 Thereのビジネスモデルは、このコミュニティーに参加するための会費を徴収するほか、コミュニティーの中で商品を販売すること、PCメーカー、グラフィックカードメーカー、ISPなどとの提携、Levi'sやNikeなどに仮想空間のなかで商品を販売してもらうこと、Thereの技術を他の企業でライセンスすることなど、複数の方法を利用する。

 Thereの開発に4年もの時間がかかった理由として、新しい空間を創造するための物理エンジン(特許出願中)などの技術開発に時間があったことが挙げられている。この物理エンジンのおかげで仮想空間のなかでは重力が働き、自然界と同じようにボールが跳ねたり坂を上がるときの抵抗などを体感できる。さらに、このコミュニティーを運用するために何百万ものユーザーが同じ場所で過ごすことができるほどのスケーラビリティー、3Dグラフィックスと人工知能の融合、先進的なアバターベースのユーザーインタフェイスなどもある。


 この仮想空間の中にものをや構造物を作るための開発キットもライセンスに同意した希望者に提供される。Adobe Photoshopを使ってバギーや衣服などに絵を描いたり、3Dソフトgmaxを使って家具などを作ることもできる。またC++言語を使って新しい景色や構造物を仮想空間の中に創造することも可能だ。

 Thereは、1998年にスタンフォード大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得したゲーム開発者Will Harvey氏とMITのメディアラボで人工生命のエキスパートだったJeffrey Ventrella氏によって設立された。設立以来3,300万ドルの投資を受け、投資家の中にはEAと3DOの創設者Trip Hawkins氏、CNETの創設者であるHalsey Minor氏とShelby Bonnie氏、DoubleClickの社長Kevin Ryan氏、Wired Magazineの共同創設者Jane Metcalfe氏とLouis Rosetto氏などが含まれている。

 ゲームメーカーのElectronic Arts(EA)もThereとコンセプトが似ている仮想空間「Sim Online」を運営しており、今回のThereの発表に併せてSim Onlineの優位性をアピールするプレスリリースを発表している。ただ、Thereのベータテスト参加者によると、Thereの優位性はそのコンセプトにあると言うよりは、グラフィックスや動きなどの実装にあると感じている人が多く、実際に参加してみて違いが分かるという。

 パブリックベータテストにはだれでも参加することができ、今年第3四半期に予定されている正式公開までは無償で利用できる。正式公開後の会費などは今後決定、発表される予定だ。

(2003/1/9)

[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)]

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