【イベントレポート】
「活力自治体フェア2003」で展示FTTH世帯普及率100%の村で活躍する
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各戸に設置されている端末機器一式。(ラック内下から順に)通信系と放送系の光ファイバー終端装置2台、CATVチューナー、セットトップボックス、音声放送の受信機(ラック内右側)と切替器 |
これらに加えて、64世帯にはテレビ電話システムを併用した健康相談や血圧診断などの高齢者福祉サービスを提供。また、村内に18件ある酪農家に対しては牛舎監視ロボットを使った遠隔監視システムも提供されている。
このロボットは高さ1メートルほどの牛柄の円柱状の形状で、透明なドーム型の頭部にWebカメラ、胸部にライトとマイクを内蔵しており、Webブラウザー上からカメラの向きやズームアップ、ライト点灯などの操作が行なえる仕組みだ。これまで出産間近な牛を抱えている酪農家では、夜でも1時間おきに離れた場所にある牛舎まで出向くか、冬でも泊まり込まなければならないなど、負担が大きかったという。これにより、自宅や外出先からいつでも牛舎の様子を確認できるようになったとしている。
このほか西興部村では、FTTH網の拠点ともなっているマルチメディアの体験施設を建設したり、学校間のネットワーク交流やパソコン教室も展開。今回の補助事業の目的である「農業振興地域における住民の生活改善」が着実に進められていると言える。
ただし、今のところFTTHを活用して展開されているサービスはこれらに限られており、補助事業も今年度で完結する。先進的な情報通信インフラといくつかのアプリケーション/サービスは実現したものの、「生活とネットを結びつけるアプリケーションがまだ存在しない。社会全体として(生活にITを活用しようという)うねりが来ないと、さらなる活用は難しい」(日下氏)。自治体としてできることには限界があるのも事実のようだ。
西興部村のFTTH整備事業の総事業費は約17億円。このうち13億7,000万円が補助対象事業となり、60%が国から、15%が北海道からの補助となる。今後の運用コストは、職員の人件費なども含めると年間6,000万円程度になるのではないかとしている。
ロボットとはいっても自走式ではないため、監視したい場所までは人間が押していく必要がある。電源のみ有線で、牛舎内の通信は無線LANで行なう(左)。 IDとパスワードがあれば、インターネット上からアクセス可能。オプションで牛舎内の空調や照明のコントロールも可能だ(右)。三菱電機システムサービスの「牛舎番頭」というシステムを使っている |
活力自治体フェア2003は、電子自治体推進フォーラム、日本工業新聞社など4社の主催により31日まで開催されており、入場は無料。CATV網を活用した電子自治体の構築に取り組んだ京都府園部町やITを活用した街づくりを進める東京都三鷹市などの自治体のほか、電子自治体向けのシステムやサービスを展開するITベンダーなど102社/団体が出展している。
(2003/1/29)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]