【セキュリティ】
Slammerに自分のコードを悪用されたセキュリティ研究者が苦悩する胸の内を明らかに■URL ウイルスSlammerは、Microsoft SQL Serverの脆弱性を悪用するコードを含んでいる。この脆弱性を発見し、公開した英NGSSoftware社のセキュリティ研究者David Litchfield氏は、自分のした行動が正しかったのかどうかを自問自答している。セキュリティ関係のメーリングリスト「BugTraq」への同氏の投稿で明らかになった。 投稿によれば、Slammerのソースコードを分析した結果、Litchfield氏がMS SQL Serverの脆弱性を明らかにするために書いたサンプルコードが、Slammerの雛形として使われている可能性が高いことが判明したという。Slammerの中に含まれる2つの関数でLitchfield氏が使ったものと同じアドレスが使われており、その他にも幾つかの部分で参考にされた部分が見つかった。しかしながら、Slammerの作者はこのソースコード全てをコピーしたわけではなく、自分自身でバッファオーバーフローコードを書く能力を持っており、あくまでもLitchfield氏のソースコードを流用しただけと言えそうだ。 また、一部報道で中国人ハッカーグループがSlammerの作者でないかと疑われていることについて、Litchfield氏はこれが自分のソースコードのコピーであることを指摘し、その可能性は少ないとみていることを明らかにした。 Litchfield氏が危険なソースコードを公開したのは、セキュリティ関連会議「Blackhat Security Briefings」で、最新で役に立つ情報を提供したいという教育的な理由からだった。「私はサンプルコードを提供することのメリットについて疑問を投げかけなければならない。コードを公開することによって、どれだけの“善”が成し遂げられたのか、そしてどれだけの“悪”がそこから出てきたのか、ということだ。従来、善が悪に打ち勝ってきたが、悪が善を上回るケースもあるのだ」とセキュリティ業界で良い慣行として行なわれてきたやりかたに疑問を投げかける。さらに、将来、ウイルスを引き金に人命が失われるようなことが発生した場合に、「私は自分がそれに関与したと感じたくはない」と率直な感想を綴っている。 最後に、「ある人はフルディスクロージャーが良いことだと論じ、他の人はそれを忌み嫌うだろう。唯一の正しい答えなどない。それは個人的な決定であるべきで、今のところ私の心は定まっていない」と今回の事件で苦悩している胸の内を明らかにしている。 (2003/2/3) [Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)] |
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