【業界動向】
創設者は著名な暗号学者Rivest教授とMicali教授
米Peppercoin社が今年後半に
マイクロペイメントサービスを開始
■URL
http://www.peppercoin.com/
著名な暗号学者によって2001年に設立された米Peppercoin社が、170万ドルのシードファイナンスを受け、今年後半にマイクロペイメントサービスを開始することを明らかにした。Peppercoin社のサービスでは、1ドル以下の支払いを行なうことが可能だという。これまで数多くのマイクロペイメントサービスが失敗している中で、“PepperCoin”がどこまでマーケットに受け入れられるかどうかが注目される。
Peppercoin社を設立したのは、MIT Computer Science LaboratorのRonald L.Rivest教授とSilvio Micali教授。Rivest教授は、RSA暗号の「R」として知られる著名な暗号学者であり、Micali教授はゼロ知識証明の共同発明者、また理論計算機科学で最高の賞であるゲーデル賞の受賞者でもある。PepperCoinの技術は、二人がMITを通して出願した特許に基づいており、同社は既にMITから特許の独占使用権を得ている。
このサービスを使ってコンテンツを販売するには、まずPeppercoin社の提供するソフト「PepperMill」でコンテンツを暗号化する。この暗号化されたコンテンツは、誰でも自由にダウンロードできるが、PepperCoinによって支払いを行なわない限り、内容にアクセスできない。
利用者はコンテンツによってランダムに生成されるPepperCoinを支払うことで解読鍵をもらい、コンテンツにアクセスできる。その後、Peppercoin社が決済処理を行ない、実際の金額を支払うことになる。この仕組みについて同社は「デジタル小切手」のようなものだと例えている。
このサービスが受け入れられれば、CDに含まれる1楽曲をオンライン販売したり、新聞や雑誌などの一部あるいは記事単位で販売することも可能になり、コンテンツビジネスに大きな影響を与えることになりそうだ。
(2003/2/12)
[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com) ]
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