【業界動向】
EU、健康保険カードを一新。2004年から統一化・電子形態へ
■URL
http://europa.eu.int/rapid/start/cgi/guesten.ksh?p_action.gettxt=gt&doc=IP/03/271|0|RAPID&lg=EN;
欧州連合(EU)の行政機関欧州委員会は、2004年6月1日から共通の欧州健康保険カードを発行する計画を明らかにした。カード導入は、2002年3月のバルセロナ春期サミットで採用され、2003年3月21日からのブリュッセル春期サミット前に計画提出が要請されていたもの。
3段階での移行を予定しており、第1段階では、短期間滞在者、例えば長期休暇の出稼ぎ者に対して発行されているE111フォームと交換する形で発行される。第2段階では、他のすべての形態、例えば、域内他国での滞在労働者(E128)、輸送関連(E118)、留学(E128)や、失業者に対して発行されているE119フォームなどと交換する形で発行される。第3段階では、これら共通化されたフォームは、電子形態のスマートカードに置き換えられる。各国の導入期限として2005年12月31日を猶予期限としており、実際に域内全土で使用可能となるのは2006年にずれこむ公算が大きい。
カードはコンピュータ処理が可能となるため、患者が病院で行う手続きが簡略化されるほか、社会保険の諸手続もかなり簡略化される。特に、社会保険で還付されるべき金額の処理は、EU域内でも国境を越えた処理が必要なため、複雑であり、かつ、時間がかかっていたものが、EU域内では国境を越えてもほぼ一瞬のうちに終わることになる。EU各国内では、救急時の手当てのみならず、すべての必要な治療がEU市民に対して提供されることになるが、今回のカード共通化もその促進に役立つことになる。
また、共通カードは、EU加盟国のほか、拡大EUの加盟予定10カ国およびEEE加盟国ならびにスイスにも適用されることが決まっている。導入が3段階を経ることになったのは、スマートカードをすでに導入しているベルギーやフランスなどと、ほとんど導入が進んでいないギリシアやチェコなどとのギャップを埋め、移行をスムーズに行なわせる意図があるようだ。
(2003/2/25)
[Reported by Gana Hiyoshi]
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