【業界動向】
~Thomson Derwent調査発表日米欧2002~2003年の特許状況は、ソフトウェア特許で大きな変化■URL 特許情報などを扱うThomson Derwentは、このほど日米欧での特許制度の2002年の変化および2003年における変化予測についてまとめ、「Thomson Derwent Patent Focus Report 2002-03」として発表した。それによると、昨年から今年にかけての大きな変革は、欧州で共同体特許制度の導入が一歩前進したことと、ソフトウェア特許に関して日本および欧州で大きな変化があったことが挙げられている。 レポートは、最近の特許出願の状況を国別に整理。日米欧でそれぞれ特許出願件数が前年比で7.5%増、5%増および10.4%増となっているのに対して、それ以外(ROW)は、前年比で21.5%増となり、全体では史上初めて120万件に達するなど特許制度の普及が日米欧以外に着実に進んでいることがわかる。また、特許登録となり有効なものは、470万件あるが、そのうち日米欧が占める割合は84%と圧倒的であった。国相互でみても、日米欧が占める割合は高い。 レポートではさらに、欧州で提示されている2002ソフトウェア指令を詳細に検討。従来欧州で特許の対象とされてこなかったソフトウェアに注目が集まった。このソフトウェア指令は、2002年2月に策定され、コンピュータで実行される発明やソフトウェア発明を特許の対象として明示することを各国に義務づけている。従来でもソフトウェアは欧州で形式を変更して特許することはできたが、その解釈は国内法によるとされており、権利が不安定であった。 しかし、2002ソフトウェア指令については、ソフトウェア特許化に賛成のソフトウェア業界からも、ソフトウェア特許化に反対するオープンソース関連団体からも評価が高くない。コンピュータで実行される発明は、従来では明示的な特許要件が明らかではなかったが、今回の指令試案では、技術水準に自明でない技術的寄与を生じることが特許とされる要件であることが明示された。具体的には明示されていないものの、このような特許化の要件としては、欧州特許機構の技術審判部が出した審決中の「通常の物理的相互作用を超えた効果が必要」という判断が参考になる。 また、2002ソフトウェア指令では、従来の基準より後退したという見方もされている。従来であれば、コンピュータプロダクトが特許の対象とされることが可能であったが、指令の試案では、実行中のものが対象となる見込み。これでは特許をとる価値がないと産業界から批判されている。 レポートでは、日本でプログラムが特許法上「物」として認められることになったことと合わせ、日本国内の知的財産基本法なども紹介されている。米国の話題は、均等論における判例変更が中心。 その他、レポートで興味深い点としては、日米欧の電子出願状況がある。日本では、ほとんどの特許出願がオンラインで行なわれているのに対して、欧州では30%、米国では2%となっており、米国の低さが目立っているが、今後は国際化の波とともに電子化も進むだろうとみられる。 (2003/3/14) [Reported by Gana Hiyoshi] |
|