【業界動向】
eEurope 2005、いよいよ始動へ■URL 欧州連合(EU)の行政機関欧州委員会の企業・情報社会担当であるエルッキ・リイカネン委員はこのほど、ベルギーのブリュッセルにおいて開催されたEU委員会において、欧州社会の情報化・電子化・ネット化の行動計画であるeEurope 2002に関する結果報告およびeEurope 2005に関する展望を述べ、欧州における着実な情報化の進展および今後の課題が山積していることを指摘した。 欧州社会の電子化は、2000年にポルトガルのリスボンで開催されたEUのサミットにおいて決議され、その後eEuropeとして行動計画が立てられた。最初の目標としてeEurope 2002と銘打った行動計画が立てられ、この計画は2002年12月に一応の終結し、報告書が2月に完成した。この報告書によれば、この2年間にネット接続された家庭数は世帯ベースで2倍以上となり、教育機関や企業ではほぼすべての組織がネットと接続されたことになるという。政府の電子化や法律行為・商行為なども順次ネット化されており、着実に計画が進んでいることを裏付けた。これらを総合すると、64件掲げられた目標のうち大半は前回の行動計画で達成されたという。 次の行動計画であるeEurope 2005は、ネットの高速化(ブロードバンド)、マルチプラットフォームアクセス(無線接続など)など、ネットの質の向上がテーマとなる。今後3年間で双方向デジタルテレビや3G携帯電話などが普及していき、ブロードバンドが社会の標準となると見られている。そのような環境を実現するために、eEurope 2005では、ブロードバンドの普及促進やブロードバンド環境での視聴に耐え得るようなコンテンツの充実を図ることを重点的な目的としている。ブロードバンドの普及とともに問題となってきているセキュリティ技術の充実も目的の1つだ。 また、eEurope 2005では、コンテンツ充実のために、電子政府化(e-govemment)、eラーニング(e-learning)、健康維持・向上の「電子化」(e-health )およびeビジネス(e-business)に焦点を絞るようだ。電子政府化は各国が躍起になって進めている。納税、免許証交付・更新など各種手続きは実現レベルの一本手前まできている国も多く、2005年までにはEUのほぼ全域での達成を目指す。e-learningについては、欧州の各種研究機関のさらなる相互高速ネット化がある。また、e-healthでは、病院などの保健機関のネット化のほか、社会保険システムのネット化の推進も課題だ。e-businessでは、中小企業のネット化が重要な課題となる。 EUは、2010年までに情報・ネット関連の技術で世界の優位に立ち、産業競争力を保持あるいは改善するという目的を持っている。このために、今回のeEurope 2005が重要な役割を果たすことは間違いない。 (2003/3/18) [Reported by Gana Hiyoshi] |
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