【業界動向】
DSL作業班、NTT東日本がソフトバンクの行動を批判■URL 情報通信審議会 情報通信技術分科会 事業用電気通信設備等委員会 DSL作業班(以下、DSL作業班)の第7回会合が開催された。今回の議題は「論点について」とされており、終盤にさしかかったDSL作業班として、まとめるべき事柄について確認がされた。 会合では、冒頭にNTT東日本から会合資料にはない意見書が提出された。内容はソフトバンクがITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)SG15の勧告草案に対して反対コメントを出したことなどについて総務省に指導を要請するもので、NTT東日本の成宮憲一技術部長が意見書を読み上げた。 成宮氏によれば、ソフトバンクが出した反対コメントは、フレッツ・ADSL モアで採用するAnnexC方式、VDSLにおけるISDN環境下周波数プラン、G-PONの物理媒体レイヤ仕様勧告について。いずれも会合で合意された事柄だが、改善用に後日修正提案を受け付ける仕組みを利用して出したもので、ITU-Tのルールから逸脱するものだとしている。 また、1月に開催されたITU-Tに対して国内合意がされていない文書を提出したことや、国内合意された文書に対して会議で反対意見を出すことは、国際標準化の議論の中で日本代表団としての団結を乱し、国益を損なう行為だと批判した。さらに、DSL作業班会合の場でソフトバンクBBの孫正義社長が「事前規制で良い技術を排除すべきでない」「国際ルールに従うべき」と発言していることと、今回行なった行動は異質のもので、孫氏の発言とソフトバンクの行動には大きな乖離があるとした。 これに対して、ソフトバンクBBの関係者として出席している東京工業大学講師の太田昌孝氏が、「自由な会議の場で反対意見を出すことはかまわないはず」「ITU-Tに出すものを事前検閲するのは憲法違反」などと反論した。 この意見書の後は、主にDSL作業班事務局から提出された「スペクトル管理の在り方に関する論点(案)」について議論が行なわれた。スペクトル管理については、米国標準(ANSI)等の考え方を参考として検討することについてほぼ合意がなされた他は、各社から過去に出された意見などが確認されるにとどまった。 なお、次回の会合は3月31日。現在、東京都世田谷区の成城交換センタなどで行なわれているDSL各方式間の相互干渉の度合いを測定するフィールド実験の結果が報告される。 ◎関連記事 (2003/3/20) [Reported by 正田拓也] |
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