【市場調査】
米IDC調査、停滞するIT業界の鍵はソフトウェア著作権保護による利益増大米調査会社IDCは、停滞しているIT業界の鍵は、著作権保護にあるとの調査結果を発表した。この調査は、ソフトウェアの著作権保護団体であるBusiness Software Alliance(BSA)と共同で行なわれた。調査は、IT技術が重要な役割を果たし、知的財産権が十分に保護されている世界57カ国を対象として行なわれた。この57カ国でIT市場の世界シェアの98%を占める。 調査対象となった57カ国の市場では、40%のソフトウェアプログラムが違法複製されたものだという。この率を10%下げるだけで、150万件の職が新たに発生することになるはずだと指摘。この数字を金額に直すと、4000億ドルに相当し、対応する税金の額は640億ドルにも達するという。これに対応した税収の増加により、国家による教育や社会保障などへの貢献も可能になる。 著作権などの知的財差権保護に関する意識は、調査対象となった57カ国では高まりつつあるという。実際に1996年の調査時より違法複製率を10ポイントほど減らした国が対象のうち3分の2ほどに達する。従って、BSAの提案もまんざら不可能な数字ではない。10ポイントまでいかなくても、1ポイントだけで60億ドルほどの税収増になる計算だ。 違法複製率を10ポイント減少させることのメリットを、別の表現で言い換えると――3000万台のコンピュータを教育機関に配置する、3200万人を健康保険の対象にする、690万人に高等教育を受けさせる、2000万もの人に4年間にわたるインターネットアクセスを提供する、400万人に初等教育が提供できる――などの効果に相当するという。 違法複製がはびこる国として名高い中国では現在ソフトウェアの92%が違法複製だとされているが、これを10ポイント下げるだけで向こう5年間に市場規模が5倍に成長すると試算。ロシアでも同様の計算をすると市場規模が倍になるという。他方、米国ほか、日本、英など、違法複製率が低く抑えられている国などでは、すでに知的財産権の保護に篤いが、これらの国でも違法複製率を10ポイント下げる余地があり、その効果は絶大だとしており、例えば、米国でも1500億ドルほどGDPが上昇するという。 このように、経済が停滞しつつある中、今後のキーは、著作権などの知的財産権保護にあることが数字上も明らかになった形だ。 (2003/4/8) [Reported by Gana Hiyoshi] |
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