【業界動向】
DSL作業班、報告書取りまとめへ一気に進む
~シミュレーションはプラ絶縁ケーブルへ
■URL
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/index.html
情報通信審議会 情報通信技術分科会 事業用電気通信設備等委員会 DSL作業班の第9回会合が開催された。上位委員会に提出される報告書の骨子案がはじめて事務局から提出されたほか、議論は論点の合意に向けた調整が主なものとなった。
事務局から提出された骨子案では、5章の構成となっており、DSLの標準化作業の経緯(第1章)から、スペクトル管理の現状と必要性についての説明(第2章)、スペクトル管理の考え方(第3章)、その基本的要件(第4章)、今後の課題(第5章)という構成。DSL作業班で議論された内容は、主に第3章および第5章の記述となって反映される。
前回までは、論点を列挙したものとして事務局が作成していた書類は、「スペクトル管理の基本的要件骨子案(主要事項)」として提出され、前回までと同様、各社が提案した内容について、合意がなされたものと、そうでないものが分けてまとめられた。今回の会合では、この骨子案について、合意に至ってない事項の議論および合意された事項の確認をひとつひとつ行なった。
今回の骨子案では、クラス分けによるスペクトル管理として、被干渉に対する保護(保護判定基準)の有無、与干渉に対する利用制限(距離制限、収容制限等)の有無から4つに分けることが提案された。被干渉に対する保護があり、与干渉に対する利用制限がないものがAクラス。予干渉に対する利用制限があるものがクラスA’、被干渉に対する保護がなく、予干渉に対する利用制限があるものがクラスB、利用制限がないものがクラスCとされた。
これらを判断する保護判定基準値をシミュレートする方法では、従来のTTC標準とベースとして見直しを行なうことで合意がなされ、見直す点としては、地下ケーブルで使われる紙絶縁ケーブルをやめ、電柱に沿った配線で使われる0.4mm径のプラスチック絶縁ケーブルを用いること、妨害源として周囲の24回線が設定されていたが、同一カッド、同一カッド含む5回線、同一カッド以外の4回線、全体の回線数から割り出した比率を当てはめた同一カッド含む9回線などが提案された。
また、そのほか、DSL機器製造や販売を行なうソネットは「干渉問題による速度変化は誤差の範囲内」という意見を提出。ADSLはすべて同じグループ分類として取り扱うことが技術面から正しいと主張した。
なお、今回の議論をもとに、骨子案に書かれたプラスチック絶縁ケーブルを使い、妨害源を9回線などとしたものについてのデータ提出要求が事務局から出された。次回会合では、このシミュレート結果に基づいて、最終的な報告書への取りまとめ作業が行なわれる予定だ。
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(2003/4/14)
[Reported by 正田拓也]
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