【業界動向】
RSA暗号の発明にチューリング賞授与
■URL
http://www.acm.org/announcements/turing_2002.html
Association for Computing Machinery(ACM)は14日、RSA暗号の開発者であるRonald L.Rivest氏、Adi Shamir氏、Leonard M.Adelman氏に対して2002年チューリング賞を授与することを発表した。チューリング賞は計算機科学のノーベル賞とも表される栄誉である。受賞者にはIntelから10万ドルの賞金が授与される。
MITの研究者だった1977年に、Rivest氏らは今回受賞した3人の開発者の頭文字が付されたRSA暗号を開発。それまでに公開鍵暗号の概念は発見されていたが、数論を用いて実際に実装できるアルゴリズムの形式にした。
RSA暗号の発明までは、安全でない通信路を使ってあらかじめ秘密鍵を交換しなければ暗号通信ができないという大きな問題があった。RSA暗号の開発によって秘密鍵をあらかじめ交換するという危険な方法をとる必要がなくなり、ネットワーク上の安全な通信方法に道を開いた。RSA暗号は現在インターネット通信のあらゆる分野で広く用いられている。
チューリング賞委員会は「コンピューターの間の安全な通信を公開鍵暗号を使って可能にする著しい前進である」と受賞理由について述べている。
なお、今回受賞したRivest氏ら3人の開発者は、1996年にも公開鍵暗号概念の先駆者であるWhitfield Diffie氏、Martin Hellman氏、Ralph Merkle氏らと共にACM Paris Kanallakis Award for Theory and Practiceを受賞している。
(2003/4/15)
[Reported by 青木 大我 (taiga@scientist.com)]
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