【業界動向】
総務省、IP電話発携帯電話着の料金設定権について意見募集■URL 総務省は、IP電話から携帯電話へ通話する場合の料金設定についてとりまとめた報告書案について、意見募集を5月22日まで行なう。報告書案ではIP電話の料金設定について、IP電話事業者が設定すべきと結論づけている。 この報告書案は総務省が2002年12月から開催している「料金設定の在り方に関する研究会」によってまとめられたもの。IP電話発携帯電話のほか、固定電話から中継接続を通じて発信する場合の料金設定についても検討が行なわれている。 この報告書ではIP電話を「050から始まる、または0AB~J形式のIP電話専用番号が割り当てられており、ネットワークの一部または全部においてIPネットワークが利用されている音声サービス」と定義づけている。つまりBBフォンについては、NTT東西の番号を利用したサービスであってIP電話専用の番号が割り当てられていないため、IP電話専用の番号を用いた携帯電話着のサービスという点では検討の対象外ということになる。 報告書案では、IP電話事業者と携帯電話事業者の間で接続協定を実現しているものは未だなく、料金設定権については今後の事業者間協議次第だとしている。ただし、事業者間協議が順調に進まない場合も想定されるため、裁定などの基準について検討を行なったという。 IP電話事業者側が料金設定すべきという根拠については、「ユーザーニーズの的確な把握が可能である」「ネットワークがNTT東西の交換機を経由していない」などの理由が挙げられている。一方、携帯電話事業者が利用金設定すべきという意見については、「IP電話は低廉なコストでネットワークが実現されているため、ネットワークコストや主要な機能の多くは携帯側に存する」とする理由が示されている。 総務省では競争促進の観点から考えれば、IP電話事業者が料金設定を行なうほうが加入者に対する営業活動や顧客維持のための事業者意欲を促進できるとしている。また、ユーザーの利用面で考えた場合にも、現状は電話発信側のユーザーが料金を負担する形態が一般的である点を踏まえ、ユーザーの要求を把握しやすい、利用者によってサービス選択の範囲が拡大して料金の低廉・多様化が促進されるとして、IP電話事業者の設定権を適当としている。 また、IP電話のネットワークはすでに裁定がなされている平成電電の直収発携帯電話と同等の構成となる。つまり伝送設備が電話発信側のユーザー宅から直接IP電話事業者の設備に収容されているため、ネットワークが非効率になるという問題が発生しないのだという。加えてIP電話は始まったばかりのサービスであり、今後普及が見込まれるサービスのため、携帯電話事業者の収益構造にも大きな変化を与えないとも指摘している。 研究会では、電気通信事業法の趣旨を踏まえた上でこれらの検討を勘案すれば、IP電話での料金設定についてはIP電話事業者が設定することが適当だと結論づけている。意見募集の提出期限は5月22日18時までとし、研究会では6月をメドにとりまとめを行なう予定だ。 ◎関連記事 (2003/4/25) [Reported by 甲斐祐樹] |
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