【新技術/ストリーミング】
BHA他、1MbpsでDVD画質を実現する新コーデック「XVD」発表■URL
「XVD」は米DigitalStreamが開発したビデオコーデック技術。画像と圧縮の最適化を行なう独自の「キーフレーム圧縮アルゴリズム」を採用することで、高い圧縮率を実現したという。またさまざまな解像度、フレームサイズ、ビットレートに対応し、携帯電話などを想定した96×64ピクセルから、ハイビジョンクオリティの1920×1080ピクセルまで幅広い用途へのエンコードが可能だ。 DVDクオリティの動画(解像度720×480、1秒間30フレーム)を実現する場合、通常MPEG-2だと約6Mbps、Windows Media 9なら約2Mbpsのビットレートが必要だが、XVDの場合、1Mbps程度で可能となり、CD-ROM1枚にDVD画質の動画を、約2時間収録できるという。また音声圧縮でも、人の耳に聴こえない高周波数成分を排除することで、MP3と比較して約半分のサイズで同程度の音質への圧縮が可能としている。 さらに、汎用DSPチップ(画像や音声のリアルタイム処理に適したデジタル信号処理専用プロセッサ)を用いて、エンコーダーのハード化を実現。PCでの再生やストリーミングに加えて、民生家電も視野に入れた多様な展開が可能という。 XVDコンテンツの再生については、CDやDVDに収録した場合、専用プレーヤーを同梱することで、PCへのソフトインストールを行なわずに再生できる。またXVDでストリーミング配信を行なう場合は、Webブラウザー(Internet Explorer5.0以降)にJavaアプレットのプラグインをインストールすることで再生が可能だ。なおXVDの再生は現在Windowsのみに対応している。
今回BHAは、米DigitalStreamへ資本参加を行なった上で、XVDのソースコードや特許、知的所有権などについて50対50で権利を享有することになったと表明。これによってXVD技術を用いた商品開発や展開を、国内外で本格的に開始する。BHAでは、活用分野としてPC、家電、ストリーミングの3分野を想定し、PC周辺機器メーカーや家電メーカー、コンテンツプロバイダー、ストリーミングサーバー事業者などへ技術提供を行なっていく。 具体的には、まずPC分野で、アイ・オー・データ機器がXVDリアルタイムエンコーダーを搭載したビデオキャプチャーボード「GV-XVD/PCI」を5月末より販売開始する。XVD変換専用チップを搭載したPCIボードで、世界初のXVDリアルタイムキャプチャーを実現したほか、付属ソフト「XVD Editor」で、XVDファイルの簡易編集やCD、DVDへの書き込みが可能。価格は3万7,000円。また今年夏をメドに、BHAから編集機能を備えたXVDエンコードソフトを発売する予定だ。 家電分野では、XVDを採用したCD-R/DVDレコーダーを家電メーカーに提案していくという。またストリーミング分野では、ホテルや企業に向けたビデオオンデマンドシステムの提供や、コンテンツプロバイダーに向けたストリーミングソリューションシステムの構築などを行なっていく。うち前者では、レオパレス21が展開する賃貸物件向けのビデオオンデマンドサービス「LEO-NET」での導入が決定。同サービスで利用しているセットトップボックスへの導入を順次行なっていく。またバナーに組み込んでの動画広告展開も視野に入れている。 なお広告展開では、マーケティング配布CD・DVD製作大手のディー・ティー・ジャパン(以下DTJapan)が、2002年からXVDを用いたコンテンツ配布を先行開始している。同社はCD・DVDに映画予告編や通販コンテンツを収録し、そこからWebサイトへ誘導し、商品購入やコンテンツアクセスを促す「Local to Net」戦略を展開。TSUTAYAやJARスキー、カーポイントなどをクライアントに、XVDコンテンツ収録メディアをすでに累計20万枚以上配布した実績を持つ。XVDを利用すれば従来より小型のメディア(シングルCDサイズやカードサイズのCD-ROMなど)でも豊富な動画コンテンツを収録できることから、DTJapanではXVDを用いた「Local to Net」戦略を拡大する方向で、今後2年間で2,500万枚のXVDメディアの配布を目標としている。 なお発表会では、ミュージシャンの世良公則氏のアコースティックライブをXVDでリアルタイムエンコーディングして会場に配信するデモを展開。1Mbpsでの配信を行なっていた。 BHAではこのXVD関連の事業で、初年度5億円、次年度20億円の売上げを目標としている。
◎関連記事 (2003/4/25) [Reported by aoki-m@impress.co.jp] |
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