【イベントレポート】
【N+Iレポート】米Cisco Systems社CEO John Chambers基調講演■URL N+I最初の基調講演は、ルーター製品で知られる米Cisco SystemsのCEOであるJohn Chambers氏が行なった。最近の米国のイベントでは、CEOクラスの基調講演の話題は、おおむね不況からの回復である。グラフを出して、企業も景気も現在は底の時期にあるが、いつかは波の山の方へ上がっていく、というのがお決まりのパターンだ。 Cisco Systemsの場合、実際2001年に業績が下がり、競合他社に追い付かれそうになったものの、2002年以降業績を回復しつつある。いわば自分で波の浮き沈みを体験したわけだ。
さて、そのCiscoが考える企業の将来とは、「Networked Virtual Organization」であるという。かつて企業内のさまざまな部署を組み合わせて、仮想的な企業として運営するVirtual Companyというブームがあったが、Ciscoのいう「Networked Virtual Organization」とは、ネットワークを使ってつながった組織が集まって、仮想的な組織を作るというもの。ビジネスに対しての重要性の有無、ビジネスのコア部分かそうでないかによって、アウトソーシングや委託を行ない、重要かつコアの部分のみを内部に持つ組織とし、これらをネットワークでつなぐことでより緊密に動き、あたかも1つの組織のように行動することを意味するという。 “Networked”という点がCiscoとしてはビジネスポイントで、こうした企業には、音声とデータを統合した高速なネットワークが要りますね? コア部分は小さくても、さまざまな企業をつなぐと大きなネットワークになるでしょう? そのときに必要な機器は何ですか? ということなのである。さすがにそこまでは言わないが、イベントの基調講演で提示される未来とは、スピーカーの属する企業にとって、最も実現してほしい将来を意味するのだ。 ネットワーク技術の発達で、社外とも大量のデータ交換が可能だし、企業相互のシステムを緊密に連携させることも可能になった。とすると、情報の交換やコミュニケーションとしては社内、社外という区別を無くすこともできる。独自技術を持つ企業の生産ラインに競合する2社の製品が流れるといった例もあれば、従来の系列を越えたビジネスを行なう例もある。従って、Networked Virtual Organizationは全くの絵空事ではない。しかし、企業の能力そのものよりも“競合会社と同じ広告会社を使わない”というような心情的ルールが優先されることも多々ある日本では技術面よりもこうした慣習が導入の障害となることもあり得ると思われる。
さて、明日30日(現地時間)は、Ciscoを追いかける「紫色」のネットワークスイッチメーカーであるExtreme Networks(同社の製品の匡体はすべて紫色が採用されている)のCEO、Gordon L. Stitt氏が基調講演に登場する。 ◎関連記事 (2003/4/30) [Reported by 塩田紳二] |
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