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日本通信、PHSデータ通信と無線LANの切り替えユーティリティ

■URL
http://www.j-com.co.jp/

日本通信 執行役員の福田尚久氏

 日本通信は、同社が運営するデータ通信サービス「b-mobile」ユーザー向けのユーティリティ「bアクセス 3.0」を発表した。PHSデータ通信と無線LANをボタン1つでかんたんに切り替えることが可能で、5月中旬よりb-mobileユーザーを対象としたプリベータサービスのモニターを募集する。

 b-mobileは、DDIポケットのPHS網を利用したMVNO(Mobile Virtual Network Operator)形式のデータ通信サービス。日本通信では2003年3月よりb-mobileと公衆無線LANサービスとのローミングを開始、現在ではNTTコミュニケーションズのHOTSPOT、理経のBizPortal、JR東日本と日本テレコムによる「無線による、駅でのインターネット接続実験」、JR東海とNTT-MEの東海道新幹線「のぞみ」停車駅をエリアとする試験サービスに対応している。また、6月10日からは京都を中心としてサービスを展開する「みあこネット」ともローミングを開始する。なお、利用にあたってはIEEE 802.11b対応の無線LANカードなどをユーザーが用意する必要がある。

 これらのローミングサービスはHOTSPOT、理経のBizPortalがb-mobile2日分の料金で、それ以外のサービスについては無料で利用可能なほか、IDとパスワードもb-mobileで提供されているものをそのまま利用できる。ただし、実際に公衆無線LANサービスを利用するには事業者ごとに異なったESS-IDやWEPなどを設定する必要があり、ローミングを開始した2カ月間での利用回数は200~300回程度に留まっているという。

 こういった問題を解消し、無線LANの利用促進を図るために開発されたのが今回発表されたbアクセス 3.0だ。HOTSPOTやBizPortalといったb-mobileが対応している公衆無線LANサービス用の設定があらかじめなされているため、ボタン1つでかんたんに公衆無線LANサービスに接続できる。

 また、PHSから無線LAN、無線LANからPHSへの接続切り替えも可能なほか、現在利用可能なネットワークもグラフィック表示で確認することができる。家庭やオフィスなどで無線LANを利用している場合は、ユーザーがWEPやESS-IDを個別に設定することで複数カ所の登録も可能だ。

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無線LAN1日利用でb-mobile2日分の料金を相殺する「ネットワーク等価交換方式」 現在利用できるネットワークをグラフィカルに表示。無線LANは登録したもののみ表示される

 bアクセス 3.0は現在まだベータ版以前の状態のため、b-mobileユーザーを対象として5月中旬より向けにテスターを募集、6月にベータ版を公開する予定としている。夏頃にはアップデート機能などを搭載した正式版の提供が開始される予定だ。対応OSは現在のところWindows XPのみとなっている。

 日本通信 執行役員の福田尚久氏は、PHSはエリアが広いものの速度が遅い、無線LANは高速なぶん現状では利用できるエリアが限られているといった一長一短があり、同社の展開する無線LANローミングサービスはこの2つを組み合わせることで両サービスのメリットを更に活かすことができると語った。また、bアクセス 3.0を利用することで、ユーザーは事業者ごとにIDやパスワードを管理する必要がなくなるというメリットも合わせて説明した。

 HOTSPOT、BizPortalを利用する際にはb-mobile2日分の料金が短縮される。これについては「b-mobileの1日あたり料金は240~250円程度で、HOTSPOT、BizPortalの1日利用料金は500円」である点を前置き、「無線LANローミング1回でb-mobile料金2日分が適切だと考えている」と説明した。ただし、料金体系については公衆無線LANサービスの普及次第で見直しを図る方向で、「今回発表したbアクセス 3.0に加え、料金体系をもっと細分化できれば無線LANサービスのさらなる利用者増加につながるのではないか」と期待を寄せた。

 bアクセス 3.0に対応する無線LANカードといった機器類については「正直なところ組み合わせが多すぎるため、自社のみでは検証しきれない」とした上で、5月中旬開始のプリベータサービスで動作確認などの環境テストなどを行なっていく考えを明らかにした。対応OSについても現在はWindows XPのみとなるが、これもテスターなどを通じて広げていきたいという。

 なお、PHSデータ通信機能と無線LAN機能を組み合わせたカード端末については「ハードウェア的には難しくはない」としながらも「PHSで接続している状態で無線LANのエリア検索を行なうといった機能がソフトウェア面で解決できるか」といった点などが課題だという。無線LAN機能を標準搭載する「Centrino」の登場なども踏まえ、デュアル端末については今後も引き続き検討していくと述べた。

bアクセス 3.0のデモ。対応する公衆無線LANサービス
あらかじめ設定されている
ユーザーはb-mobileのIDとパスワードのみ設定すればサービスを利用できる

家庭やオフィスなどの無線LAN設定も複数カ所登録できる 無線の電波状況も表示。デモではHOTSPOTを利用してログイン

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(2003/5/8)

[Reported by 甲斐祐樹]

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