【業界動向】
勝者なき勝負、米DSLシェア争い
■URL
http://www.forrester.com/ER/Research/Brief/0,1317,16793,00.html(英文、利用登録が必要)
米Forresterがこのほど発表したDSLに関する調査によると、熾烈なシェア争いをしているブロードバンドネット接続業者、特にDSL業者には、勝者はいないとの予測が明らかになった。
調査によれば、米国におけるブロードバンド市場は日本と同様、価格競争のまっただ中にある。その中でも激しいのはDSL市場。ブロードバンドでの接続料金は、米国ではDSLであれケーブルネットであれ、月額40~50ドルといわれている。しかし、大手DSL業者のVerizonは、このほど月額34.95ドルに料金を下げたことから、価格競争が始まるとの認識が深まった。
40ドル以下でブロードバンドネット接続を提供する業者には、Qwest CommunicationsやCox Communicationsがあるが、ブロードバンドの範疇に入るとはいえ、現在標準といわれるスピードでは提供していない。Verizonの新規サービスは、標準的なブロードバンド接続スピードで提供するところに新しさがある。しかし、このような価格競争で結局どの企業が勝者となるかという質問には、調査では企業側に悲観的な回答を用意している。すなわち、勝者と成り得る企業がいないというのだ。むしろ、勝者は「消費者」と予測している。
米国では、ダイヤルアップ接続をしている世帯のうち、57%がコストを理由にブロードバンドへの切り替えをしていないという。しかし、Verizonの安価なサービスは、この流れを変えそうだ。Verizonの提供する価格は、ダイヤルアップ接続料金よりも安い場合さえあるのだ。これは、日本ではすでに逆転している。
Yahoo!、AOLといった自己コンテンツを提供することができる企業がブロードバンド市場で有利との見方もある。また、ケーブルネット接続サービスを提供する企業もコンテンツを保持していることから、有利との見方もある。
しかし結局のところ、価格競争になると、各企業の消耗戦となる可能性があり、速度競争などに耐え得る企業が果たして存在するのかという疑問が提示されている。米国でも今後ブロードバンド市場のシェア争いは深刻化しそうだ。
(2003/5/9)
[Reported by Gana Hiyoshi]
|