【事業計画】
~全社的な標準化と“Buy High”の実現がTCOの大幅な削減を可能にインテル、社内IT戦略とPCの戦略的利用方法を公開■URL インテル株式会社は28日、同社のIT部門の活動と成果をまとめた年次報告書「2003年版 ITアニュアル・レポート(英語版)」の発刊を機に、同社の社内ITシステム戦略やPCの戦略的利用法を説明する記者発表会を行なった。 ◎Pentium IIIからPentium 4へ変更するだけで、一人あたり年間60時間短縮できる
IT@Intelプログラムは2002年より開始され、2002年度版年次報告書(日本語版)は同社Webサイト上で公開されており、2003年度版についても現在翻訳作業中だという。年次報告書には、さまざまな取り組みを数値化したものが公開されている。例えば、ITがビジネスにいかに貢献したのかを表わす「ITのビジネスバリュー」や、同社社員を顧客ユーザーに見立てて評価させた「IT顧客満足度」などだ。 ITのビジネスバリューでは、16の主要プログラムから貢献度を計測している。その中には、「より性能の高いデスクトップコンピューターが、どの程度社員の生産性向上に役立っているか」なども入っている。具体的には、デスクトップPCのCPUをPentium IIIからPentium 4に変更して、どの程度生産性が向上するかを計測するために、「パワーポイントで資料を作成して、それをメールで送信する作業」に掛かった時間を計測したところ、年換算で一人あたり約60時間の時間短縮ができるという。また、IT顧客満足度では、コールセンターの解決率やPCの修理、オンラインシステムの稼働率などに目標設定を行ない、その目標の達成度を数値化して公表している。 同社の2003年の予定では、同社が世界中で利用しているPCの1/3(約3万5,000台)を、Centrinoモバイル・テクノロジ搭載のノートPCとPentium 4搭載のデスクトップPCに入れ替える予定。日本法人では、既に従業員の95%がノートPCを利用しており、Centrinoモバイル・テクノロジ搭載のノートPCへの移行を予定しているという。 2006年までの目標では、いくつかのビジネスプロセスにおいてインテルの生産性を50%向上させるほか、ITの製品とサービスの一人あたりのコストを50%させることを挙げた。 ◎全社的な標準化と“Buy High”の実現がTCOの大幅な削減を可能に 続いてより具体的な、同社自身の経験から学んだ“PCの戦略的利用法”についての説明となった。 同社のPCの購入形態の基本姿勢は“Buy High(上位機種の購入)”だ。実際に同社では、最上位機種が登場して評価・認定を経てから、数カ月後には購入しているという。同社では、以前に低価格PCを購入していたが、その直後に登場した次世代OSに必要なパフォーマンスを満たしていなかったために、予定より早い買い替えを余儀なくされ、結果として資産の耐用寿命を短くした。これにより、現在では“Buy High”を実施し、約3年から3年半サイクルでの買い替えとなった。 “Buy High”を実施することによりクライアントPCの安定性が増し、結果としてリブート回数やフリーズ時間が減少し、社員の生産性が増すという二次的な効果もあるという。また、OSが起動しないなどのトラブル発生時には、マレーシアのプナンに居る日本語のわかるマネージャーがリモートでクライアントPCにアクセスし、改修を行なうことによってTCOの削減に貢献し、年間10%のTCO削減を実現しているとのこと。 PCが故障した際には、修理・アップグレードするよりも交換した方がコスト・パフォーマンスが良い場合には、買い替えする。この判断には、同社の財務部門が開発した“修理可否判断ツール”を利用し、サービスセンターは壊れたシステムを修理するか交換するかを判断する。 このようなリモートによる修復や故障判断を行なうためには、全社的に同一のOSやPCを利用することが望ましい。従って同社では、全社的な標準化を推進し、サーバーは「Windows 2000 Server」、クライアントは「Windows XP」、エンジニアやデザイナーは「Linux」を利用するように推奨している。現在日本法人では、クライアントOSのWindows 2000からWindows XPへの移行を行なっている途中だという。 これらのことから、同社の情報システム部長海老澤正男氏は、「全社レベルの標準化がTCOを削減を可能にし、そのコスト削減分を“Buy High”へまわすことにより、さらによい循環を生んでいく」と語っている。
(2003/5/28) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
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