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村井純教授が福祉におけるITの役割について講演

大学と企業が合同で社会貢献を

■URL
http://www.e-care-project.jp/ (e-ケアタウンプロジェクト)

慶應義塾大学環境情報学部教授/SFC研究所所長の村井純氏

 14日、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)にて「介護福祉とITの未来を語る/ e-ケアタウンプロジェクト・ワークショップ」が開催され、慶應義塾大学環境情報学部教授でSFC研究所の所長を務める村井純氏が、インターネットの持つ可能性や福祉・介護をはじめとする社会貢献における役割について基調講演を行なった。

 今回のワークショップを主催したe-ケアタウンプロジェクトとは、慶應義塾大学、藤沢市、藤沢市保健医療財団、NTT東日本が推進する、介護福祉分野でのIT技術活用を目指す実証実験プロジェクト。

●インターネットは新たな社会のあり方を生み出す

IT社会、ではデジタル情報の自由な流通が大きなカギになる
 冒頭、村井教授は1990年の設立以来、SFCが日本のインターネット研究の中心であったこと、SFCからインターネット関連の優秀な人材が輩出されていることを紹介。インターネットが流行語大賞になり、一般的なものになった1995年以前は「SFCが停電になると、日本のインターネット自体が止まってしまっていた」と当時を振り返った。「今は一般的なものになったインターネットだが、世の中に認知されるには5年かかった。それと同じように、5年後、10年後の社会を作るため、現在e-ケアタウンプロジェクトに関わっている」とプロジェクトの意義について説明した。

 その後、話題はインターネットの意義とその可能性に移った。「インターネットというと、電子メールやWeb、iモードを思い浮かべる方が多いと思うが、インターネットの技術というのはもっと大きな可能性を秘めている」と村井教授は語る。では、その可能性とはどんなものなのだろうか。

現在のインターネットは、電話線のようなアナログのインフラの上に成り立っているもの、光ファイバーのようにインターネット専用インフラの上に成り立つもの、双方が存在する(上)。理想はインターネット専用のインフラが確立することだ(下)

 村井教授は、SFCとアジアの7カ国/10大学で行なわれている衛星インターネットによる遠隔授業や、名古屋市におけるタクシーの運行状況を一元管理できるシステムの実験など、これまで手がけてきた実証実験を例に挙げながら、「インターネットによって、これまで権力や財力がなければ実現できなかったこと」を実現したり、「個々のタクシーの運行状況など、情報として存在していながら、そのまま捨てられていった情報を生かす」ことができると発言。インターネットによって生まれるビジネスや社会の新しいあり方とこれを模索することがますます重要になるという。

 つまり、インターネットはただの「便利なツール」ではなく、「社会を変えるインフラ」として捉えているのだ。インターネットの出現により、国の政策として「デジタル情報の交換を基盤とした新しい社会を作っていこうよ、という発想」が必要になってくるという。

 前述のように、社会を形成するインフラが現在変わりつつある。村井教授は、既存のテレビも電話など、「アナログのインフラの技術は基本的にすべて持ち主が独占している」と述べ、ADSLやISDNなどは既存の電話線ビジネスの上に乗った過渡的なものだが、今後はインターネット専用のインフラ、つまりFTTHを普及させることが日本のIT政策の重要な点だと強調する。

 そして、この政策を推し進めた先には、電話やテレビ局といった業種で分離されたインフラを権力または財力を持った限られた人が利用する閉じた社会ではなく、インターネットという共有の基盤で多くの人が情報の発信するデジタルコミュニケーションが可能になるという考えだ。

●インターネット的な「自律・分散・協調」

e-ケアタウンプロジェクトの意義は、大学のような研究機関や企業、行政が直接、社会に貢献し、そのフィードバックを得られること
 「自律・分散・協調」。村井教授の講演で頻出するキーワードだが、これはIT化の進んだ社会、そしてその社会に暮らす人間のあるべき姿を表わすものだ。

 インターネット以前のコンピュータは、メインフレームにすべてのコンピュータが接続されるいわば中央集権/一極集中型のネットワークを形成していた。しかし、インターネット時代の到来とともに、すべてのコンピュータがクライアントでありサーバーとして振る舞う、自立的かつ分散的でそして相互補完するモデルへと変貌した。村井教授によれば、人間もまた「自律・分散・協調」することが重要だというのだ。

 この点について村井教授は交通信号とロータリー式の交差点を比較しながら、「信号のように特定の誰かがコントロールするものに従うのではなく、ロータリー式のように個々のドライバーが注意を払い、自分自身でリスクを背負うことで事故を避ける。こういう形に人間も変わっていかなければならない」と説明した。

 さらに、「デジタルは知識や情報を数字にする。数字の計算といえばコンピュータが得意だ。人間は計算するしか脳がないコンピュータをアシスタントに付けて、インターネットを通じて『自律・分散・協調』のモデルのもと、知識や情報を交換する社会が理想的だ」とまとめた。

 このほかにも、「インターネットがどういうふうに介護や福祉分野、さらに高齢化社会に役に立つのかということを考えると、さまざまな可能性がある」、また「今後は大学のような研究機関が頂点にあり、その成果を企業が商品として実現するという“象牙の塔”のモデルから、企業と大学が共同で研究し、直接末端の人たちに対して社会貢献する時代」との見解を示した。

 最後にe-ケアタウンプロジェクトについて、「利用者から直接フィードバックを受けられ、大学、企業、行政それぞれが責任を持って問題点の解決を目指すことができる。そういった意味でこのプロジェクトの意義は大きい」と基調講演を締めくくった。

(2003/6/16)

[Reported by 伊藤大地]

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