【実験結果】
やはり参加者の多くは男性のまま、NTTデータの大規模グリッド実験が終了■URL NTTデータは26日、米United Devicesやインテルなどの協力を得て実施したグリッドコンピューティングプラットフォーム「cell computing」の大規模実証実験の結果を発表した。昨年12月20日から今年4月30日までの4カ月あまりの間に1万2,206台のPCがインターネット経由で参加し、トータルCPU時間は611年162日13時間24分23秒に達した。これは平均的なPCが1台で処理した場合に611年以上かかる計算を約4カ月で行なったことになり、ピーク時の処理性能は3T FLOPS(浮動小数点演算を1秒間に3兆回実行する処理速度)を超えたとしている。 実験では、ヒトの遺伝子情報の周期性解析など2つのアプリケーションが実行されたが、遺伝子解析では、当初予定していた分の2つの染色体の解析を1カ月半で終了。追加分も含めて期間中に5つの染色体を解析できたという。また、セキュリティ面も含めて技術的な問題は発生しなかったとしており、cell computingの信頼性と有用性が実証された。 ただしNTTデータによれば、このようなインターネット型の大規模グリッドがビジネスになるのは2、3年後になるという。企業秘密とも言えるデータをインターネット経由で不特定多数のPCとやりとりすることに対して心理的な抵抗があるとしており、たとえ技術的には問題がないとしても、実際にこれを利用しようという企業はまだ現われないとの読みだ。 また、今回の実験では、オリジナルのマスコットキャラクターが携帯電話に解析の進行状況に知らせたり、計算量に応じたプレゼントも実施。女性や子供の参加を促す仕掛けを用意したものの、参加者の主体は20~40代の男性で、ハイスペックPCのユーザーの割合が高かったという。参加PCの調達を趣味やボランティアベースに頼っているという、現在のグリッドコンピューティングの課題を解決するには至らなかった。 NTTデータでは今回の実験成果を受け、まずは参加PCが企業内に限定されるイントラネット型のcell computing製品について今年後半にも販売を開始する。クライアント100台のライセンスで500万円以下で提供したいとしており、当初は研究機関などへの販売を見込んでいる。 ◎関連記事 (2003/6/26) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
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