【実験/業界動向】
インターネットや分散アプリ研究のための実験場「PlanetLab」
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PlanetLabのサイト |
PlanetLabでは、これまでは規模が小さすぎて実験できなかったような分散アプリケーションの実験をはじめ、ウイルスやワームからインターネットを守るための研究、インターネットの渋滞を開始して高速にファイルや画像をダウンロードする方法、より強力なサーチエンジンに関する研究など、さまざまな実験計画が考えられている。
これまで研究者たちが分散アプリケーションを研究する場合、ネットワークシミュレーションに頼るか、実験室の中に数十台のコンピュータを接続して実験する以外に方法がなかった。実際のインターネットはこうした実験室よりもはるかに複雑なため、現実的な問題点がつかみにくい。ただ、一人の研究者がインターネット上に数百台のコンピュータを持つことは現実的でなく、これまでは不可能だった。PlanetLabでは、インターネットに接続された何百台ものPCを使ってオーバーレイネットワークを構築し、これを可能にするものだ。
PlanetLabでは企業、大学を問わず、条件を満たせばどんな研究者でも参加できるようにしている。参加条件としては、PlanetLabイニシアチブにネットワークに接続されたLinuxマシンを最低2台提供することがある。PCの最低限の仕様はPentium III 733MHz、256MBのRAM、20GBのHDDなど。さらに静的IPアドレスとDNSエントリを持ち、そのPCはファイアウォールの外に設置されなければならない。この条件を満たすマシンを提供できる組織とその構成員は、誰でもPlanetLabに参加して実験場として利用が可能だ。
現在PlanetLabには世界各国から170台のコンピュータが接続され、ここ数年のうちに1,000台にまで増やしていく考えだ。PlanetLabに技術支援を行なっている米プリンストン大学では、早速PlanetLabを、ネットワークを学習している学部や大学院生の授業に使用することを計画している。
(2003/6/26)
[Reported by 青木大我 (taiga@scientist.com)]