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【N+I 2003レポート】

「DNSホットトピック」より

首都圏停電でも「m.root-servers.net」は大丈夫

■URL
https://ssl.key3media.co.jp/sfm2003ni/forum_preview_022.html

 「NetWorld+Interop 2003 Tokyo」のコンファレンスセッションのひとつとして、2日には「DNSホットトピック」と題されたセッションが行なわれた。題名の通り、インターネットの根幹を支える重要システムだが、普段は意識されることの少ない「DNS(Domain Name System)」に関する最新状況を解説するセッションだ。チェアを務める東京大学の江崎浩氏が、「こんなマニアックなDNSに関するセッションにこれだけ人が集まるとは……」と驚くほどの参加者を集めた。

●「m.root-servers.net」は大阪にバックアップ体制を整備

 セッションでは最初に、日本に設置されているルートDNSサーバー「m.root-servers.net」の管理主体である東京大学情報基盤センターの加藤朗氏がDNSサーバーの置かれた現状について解説した。同氏はまず、DNSの泣き所として、DNSサーバーに問い合わせ(クエリー)を行なったときに、再帰的な検索を行なうDNSだと複数のパケットを飛ばすためにパケットの数が増殖してしまう性質を指摘。これを悪用されると、DoS攻撃などに利用されてしまうことがあるという問題や、DNSサーバーのキャッシュに格納されたデータを書き換えられてしまう問題などを挙げた。

 また最近では、上位ドメインのDNSサーバーに登録されたサーバーに正しい情報がきちんと設定されていない、いわゆる「Lame Delegation」と呼ばれる問題が大きな問題となっている。実際昨年6月時点でJPドメインに登録されているDNSサーバーに対してチェックを行なったところ、全体でも約16%、汎用JPドメインに限れば約3分の1のサーバーにおいてLameが発生していたという。

 一方、DNSサーバーの新機能としては、国際化ドメイン名(IDN)の本格運用が近づいたことなどにともない、既存のアルファベットによるドメインとIDNを統一的に管理したいという要望が多いことから、RFC2672で「DNAME」と呼ばれる新しいレコードが規定され、「BIND 9」で実装されたことなどが紹介された。このレコードを使うと、例えば「u-tokyo.jp」と「東京大学.jp」のDNS情報をまとめてで管理したいといった場合には、このDNAMEを使うことで楽に管理が可能になるのだが、一方で、1)無限ループが発生してしまう可能性がある、2)上位のDNSサーバに登録されたすべてのサーバーがこのDNAMEに対応していないといけない──などの問題があり、「DNAMEはよろしくない」との意見も一部では出ているとのことだ。

 さらに、現在東大に設置されているm.root-servers.netについて、大阪に昨年バックアップを設置。「今年の夏は関東の電力事情が危ないので……」(加藤氏)という心配や災害対策などの目的もあり、BGPによる自動切り換えで、東京のサーバーが停電で落ちた場合にも自動で大阪のサーバーに切り替わる体制を整えたことも明らかにされた。他のルートDNSサーバーでも、やはりDDoS攻撃への耐性強化やパフォーマンス増強などを狙って、Anycastを利用したサーバー増強を行なっている例も報告された。

●DNS基盤の維持に重要なのは「Lame Delegation」を減らすこと

 続いて日本レジストリサービス(JPRS)の佐野晋氏が、JPドメインの管理者としての立場から現在の状況を説明した。同氏はまず、JPドメインのDNSのクエリー数が、2001年には平均で350件/秒程度だったものが昨年暮れからは概ね700件/秒程度で推移しており、トラフィックとしては平日昼間にピークが来るというデータを提示。「日本のインターネットは、健全なユーザーが増えてきている」と現状を説明した。

 同氏は、具体的にユーザーからどのようなクエリーが届いているかの割合を分析したデータも示し、最近はPTRレコードやAAAAレコードのクエリーが増加しており「IPv6の普及が原因ではないか」との見解を述べた。また、「ほとんどのゴミクエリーはルートDNSサーバーの方で処理してくれるが、それでも総クエリー数の10%ぐらいはゴミが来る」と述べ、具体例として「予算管理システム.xls.co.jp」「営業3課@co.jp」といったドメイン名へのクエリーを紹介。「なんでもco.jpを付けるような実装のアプリケーションが相当数存在するのではないか」と指摘した。

 現在、JPRSではJPNICと共同で、前述のLameのような問題を解消すべく「DNS運用健全化(DNS-QC)タスクフォース」を立ち上げ活動を行なっている。また、DNSの設定をチェックするためのツールの提供、ネームサーバー情報の登録時に自動でチェックを行ない、必要に応じてユーザーに警告等を行なえるようにする体制の整備等を進めているということだ。しかし、ユーザーの中には「Lameなんか放っておけばいい」と非協力的な態度を示す者もいるそうで、JPRSとして対応に苦慮している様子がうかがえた。

 同氏は現在の課題として、IDNの運用ガイドラインや、IP電話の相互接続に不可欠な技術として注目されている「ENUM」などを挙げたほか、JPドメインのセカンダリDNSについてIPv6化を見据えて分散化やサーバー名称の変更などを進めていることを明らかにした。そして、最後に「とにかく今最大の問題は、ロークオリティなDNSをいかになくすかということだ」と述べ、Lameの減少こそがDNSという基盤を維持する上で最も重要な課題であるという見解をあらためて強調していた。

【お詫びと訂正】記事初出時、ルートDNSサーバー名を「m.root-servers.org」としておりましたが、正しくは「m.root-servers.net」です。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。

(2003/7/2)

[Reported by 松林庵洋風]

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