1998年2月13日
HEADLINE 3 articles
○NRIの情報通信利用に関する国際比較調査
○富士通はグローバル・ソリューション・リンクを推進
○警察庁はネット上のアダルト映像などを規制対象に
余談4題:PSIエクストラネットパック/途中集計が分かるアンケートサービス/花粉症の季節/アクティメイツ続報:英国進出へ
○NRIの情報通信利用に関する国際比較調査
日経新聞13面&日経産業新聞3面と日刊工業新聞2面には、野村総研(NRI)が昨年末、日米韓そしてシンガポールの4ヶ国で行った「情報通信利用に関する国際比較調査」において、日本は新しい情報機器の利用に対して消極的という記事が掲載された。他にも日本人の情報化の特徴として、情報化の進展が必ずしも良いことではないという意識が強く見られ、また情報化の進展でコミュニケーションが活発になるということについても否定的な意見の人が多いとしている。また日本の生活者全体でみると、情報通信メディアを誰でも自由に「使いこなす」という面で、情報化はまだ十分定着していないと結論付けている。
上記調査からすると日本では、従来の技術をベースとしたデジタル通信機器の普及は広まっているが、真の情報化の目安となるPCの普及率やインターネットの利用率が低いということになる。日本の未来に向けて、一番気にかかる部分だ。調査報告概要には、情報通信機器の利用者が若年層に限定されているともあるので、この情報ジェネレーション・ギャップは年数を重ねないと解決しない問題なのかもしれない。
やはり日本でも、昨日号のNEWS
Watchで取り上げたキーワード:ACBC(After
Computer Before
Computer、コンピューターを理解する人とそうでない人の格差)の問題が頑然とあるということだろう。
○富士通はグローバル・ソリューション・リンクを推進
日刊工業新聞1面には、富士通が企業向けネットワークサービス「FENICS(フェニックス)」の海外展開に乗り出すという記事が掲載された。「FENICS」は富士通が国内展開している基幹通信網とそのサービスの総称であり、VAN(付加価値通信網)としては国内最大で、アウトソーシングのネットサービスの他にもInfoWebやニフティサーブ、そして富士通社内のLANもその回線を共有している。海外では、国際専用線と国内の「FENICS」を接続して企業向けネットサービスを提供するとしており、これを世界的サービス事業として推進する「GSL(グローバル・ソリューション・リンク)」の中核としていくという。
社内に巨大なインフラを持つ企業は、この富士通の取り組みと同じように、ソリューション提供を含めた世界規模の総合データ通信事業者への転進を今後図って行くこととなろう。
○警察庁はネット上のアダルト映像などを規制対象に
日経新聞39面や(INTERNET Watchには、風営法の改正を検討していた警察庁が12日までに、インターネットを使ったアダルト映像提供業や、宅配によるアダルトビデオ販売業など、いわゆる「無店舗型」の営業を新たに規制対象とする改正案をまとめたという記事が掲載された。同庁では3月上旬にも国会閣議に提出、今国会での成立と'99年度初めまでの施行を目指すという。
また日経の解説には、国内のアダルト映像提供業者数のうち7割が、利用代金を銀行振込かダイヤルQ2で回収しており、18歳未満を客とすることを禁止するため、年齢情報が分かるクレジットカードでの代金回収などの方策を取るよう、指導を徹底するとある。またプロバイダーの業界団体側でも、現在「公序良俗に反する情報について第三者から苦情を受けた時は、発信者に警告屋削除要求を行う場合がある」とする自主規制策を検討中なので、同庁では一連の自主規制の推移を当面は見守る構えともしている。
現実社会でも議論のある「表現の自由と規制」や、「芸術か猥褻か」といった論争が、これでネット社会の中にも着実に浸透して来るだろう。
また日本では、いろいろな面で自主規制しすぎる傾向があるので、プロバイダーなどの取り組みも行き過ぎないように注視する必要性を感じる。
余談その1:PSIエクストラネットパック
日経産業新聞2面には、法人向けプロバイダーのPSINetが、社外から社内ネットへのアクセスを安全に制御できるセキュリティー対策をパッケージ化した商品「PSI・エクストラネット・パック」の販売を始めたという記事が掲載された。NTTの専用線とPSIの専用線接続サービス、ファイアウォールソフトを搭載したルーターの設置と運用管理、そして本人認証のためのワンタイムパスワード生成カード5枚などをパッケージしたもの。
外回りの多い営業やサービス部門などにとって、ネット管理サービスまで付いたこのようなパッケージをまるごと導入すれば、一気に情報武装化した環境を整えることが可能となるだろう。
余談その2:途中集計が分かるアンケートサービス
日経産業新聞3面と日刊工業新聞9面には、インターネット上での市場調査事業を展開するNTTナビスペースが13日から、途中集計をリアルタイムで参照できるアンケート集計サービスを始めるという記事が掲載された。消費者がバナー広告などをクリックすると、その広告に関連するアンケート画面に切り替わって、記入する仕組みで、アンケート結果をNTTナビが集計し、広告主に表やグラフ付きのリポートを提出するシステムとなっているとのこと。広告主はアンケート結果の途中経過を示すグラフなどをブラウザーを使ってリアルタイムで見られるという。
アンケートの傾向をつかみながら、商品を開発したり販売戦略を立てられるので、ネットのリアルタイム性を活かしていると言える。
余談その3:花粉症の季節
日経産業新聞18面には、エーザイが12日、自社ホームページ上でのスギ花粉情報提供の開始を発表したという記事が掲載された。
また日刊工業新聞5面では、「花粉症の患者はなぜ増える?」と題した特集記事が掲載されており、スギ以外の花粉症の可能性や山林の手入れ不足などによるスギ花粉の大量発生、そしてディーゼルエンジン排気物質による大気汚染との関連性などを指摘している。
長野冬季五輪で盛り上がっているうちに、花粉のことを気にしなければならない季節になってきたという事か。こんな記事を読んでいると、何だか私の鼻もムズムズしてきたような気が...(^_^;)
余談その4:アクティメイツ続報:英国進出へ
昨日のNEWS
Watchで取り上げた、米MSの「双方向型人形・アクティメイツ」の第1弾「アクティメイツ・バーニー」が、なぜ米国でヒット商品になったか分かったので紹介したい。
今日の日経産業新聞21面には、そのアクティメイツ・バーニーを米MSが6月にも英国で発売するという記事が掲載されており、紫色の恐竜(!)バーニーは学齢前の子供向け米TV番組の主人公で、英国でも1年前から放送されてすでに浸透しているという。
TVキャラならば、なぜヒットしたかは納得出来た。しかし、もし日本へ進出してくるとすれば、動作ソフトの日本語化以外の事でも障壁が高いと思われるのだが。
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