ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年6月12日版


HEADLINE 3 articles

サイバー企業は高収益!?
セキュリティバンク設立
松下とNTTのLSI省電力化技術開発
余談4題:/家電リサイクル法/LMDS/MPEG2デコーダの追加情報/休刊連絡


[企業][サイバー度アンケート](レベルA)
●サイバー企業は高収益!?


 日経産業新聞1面トップには、新サイバー企画「モダンタイムス2001」を掲載しており、情報通信ネットワークを高度に活用している「サイバー企業」が高収益をあげているという調査結果を出している。日本経済新聞社日経リサーチの協力を得て、東証1部と店頭公開、非上場の一部有力企業2,078社を対象に5月末時点でアンケートを実施し、1,011社から得た回答をもとに11日にまとめた第一回「企業のサイバー度調査」から割り出した結論のようだ。
 そのランキング(202社まで掲示)では、1位:富士通、2位:ソフトバンク、3位:日本IBMとなっているが、全34問のアンケートで高得点を上げればそのままランクが上になるという訳ではなく、同新聞の2面にもあるように、総合サイバー度を各質問項目相互の相関関係からその質問に対するウエートを求めて算出する方法を取っていることから、それなりの確度を持ったデータと言えるだろう。
 また、同紙の12面と13面の見開き全面で、このアンケート全文と回答も掲載されており、大企業は国際化に対応しているとか、電機業界でも業績に貢献しているとか、中小企業の空洞化を心配する声など、色々と分析がなされてもいる。
 やはり、1面にある企業のサイバー度と経常利益との相関図が強烈(特集のトップページ参照)で、上位企業の名前まで入っているのだが、掲載された企業にとっては将来性が高いという意味で、株価を高めたり人材確保にも良い影響を与える結果にもなるだろう。そういった効果を見越した企業からの回答もあるのではとも考えられるので、次回のアンケートでは、インターネットを導入しているかなどという定性的な質問から、導入後の効果や状態を推し量れるような定量的な質問を多くして、その質問どうしの相関が取れれば、なおサイバー度の効果と影響力が実数として分るだろう。
 特に目につくのが、12面に掲載してあるインターネット活用を社内向けか社外向けかの利用の度合とサイバー度の相関表で、社外への利用方が多い企業がサイバー度が高いという結果になっているのだが、その中に『電子メールを導入していない一群』がサイバー度の低い部分に固まっており、囲い枠マークまで付けられている。当然、その中には企業名は入っていないのだが、このグループもサイバー度の高いグループに飲み込まれないと、どうなるかは...  




[セキュリティ](レベルB)
○セキュリティバンク設立へ 
(internetWatch記事参照)
 日刊工業新聞7面と日経産業新聞2面には、米インターネット・セキュリティ・システムズの全額出資子会社のアイ・エス・エス(IIS)ソフトバンクトランステック、ナッツウェル、ラックの5社などが、ネットワーク・セキュリティ関連の共同販売連合体「セキュリティバンク」を今月内にも設立するという記事が掲載されている。
 ISSが扱うソフトで、ハッカーと同様の手口でサーバーやファイアウオールを検査するのが特徴の「ファイアウォール・スキャナー」「イントラネット・スキャナー」、またネットワークをリアルタイムで監視し、ハッカーが侵入した場合にネットワークへの接続を切断する「リアル・セキュア」なども共同販売するようだ。
 4月8日にソフトバンクが中心になって発表された、同様な連合体であるウィルス対策関連の「ワクチンバンク」の設立(5月14日のNEWSWatch余談その3参照)記事や、5月28日のNEWSWatchで取り上げた、海外セキュリティーソフト製品群の相次ぐ日本発売を見ても、ネットワークを守る楯の役目をするこれらの市場が将来巨大化するのを見越して、各社様々な思惑で動いているのがよく分る。
 また、紙面を同じくして日経産業新聞2面には、郵政省の電気通信局長の私的研究会である「情報通信ネットワークの安全・信頼性に関する研究会」が、インターネットの急速な普及に対応し、不正アクセスへの対応策などの報告書をまとめたという記事や、同紙8面にも、大東京火災海上保険が行った首都圏に住む20~50代の男性サラリーマン千人を対象に今年3月に実施した調査で、日常生活で情報機器を使ってこなしたいものは旅行の予約や役所とのやり取りなどが多い一方で、9割以上の人が情報の盗難に不安を持っている事が明らかになったという記事なども掲載されている。
 上記のネットワークに対する不安な民意の反映と、何らかの基準作りを急ぐ官の取組みなども相まって、セキュリティに関連するソフトメーカーを勢いづける流れ(トレンド)ともなっている。





[LSI][新技術](レベルB)
松下NTTがLSIの省電力化技術を開発


 日経産業新聞5面には、松下電産NTTと共同で、LSIの省電力化技術を開発したという記事が掲載された。DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)で試作した回路は、動作周波数が20MHzで消費電力が12mWと消費電力を従来の1/5に減らすことができるので、携帯情報端末などに採用すれば動作時間を長くすることが可能なようだ。98年度末までに実用化する計画らしい。
 この技術がすぐさま、モバイル・コンピューティングなどに応用されるかどうかは分らないが、ICなどから発生する熱をどう発散させるかという熱設計は、今後も小型軽量化を目指す機器にとって有効な手法の一つとなる可能性は充分有る。
 昨日の東芝のインターネット接続専用の回路技術(NEWSWatch参照)同様、小型軽量化をお得意とする日本らしい技術開発と言えよう。
(京都市の京都グランドホテルで開催中のVLSIシンポジュームにおいて、14日(土)の9時20分からの発表(13-3:A Lean Power ManagementTechnique:The Lowest Power Consumption for the Given Operating Speed ofLSIs)というスケジュールとなているので、興味のある方は...とはいってもあまりに専門的過ぎるので、お勧めとは決して言えない...(^_^;)



 
余談その1:
   日経新聞1面トップには、通産省が、2000年度をメドに家電メーカーに廃家電製品のリサイクルを義務付ける方針を固め、「家電リサイクル法」(仮称)を98年の通常国会に提出するという記事が掲載された。将来はパソコンなども追加する考えらしい。
 同紙5面のニュース解説でも、この新制度の最大の特徴が、排出者である消費者に費用負担を義務づけ、回収やリサイクルをメーカー責任にした点としている。 日本IBMPCリサイクル事業など、あたかもこういった動きを先取りした様にも感じられるが、これまでトータルコストの思想で、部品などの共通化や保守の容易性などを考慮して設計されている機器を製造している企業なども比較的早くにこの法案に対応可能ではないだろうか。
 
余談その2:
 日経産業新聞5面と日刊工業新聞8面には、5月30日のNEWSWatchでも取り上げた、米HPの無線情報ネットワークシステム「LMDS」についての記事が掲載された。HPは、「MC2」というコンセプト(メジャーメントとコンピュータ、コミュニケーション)の一つとしてこの40Mbpsの伝送速度が可能なATMデータ無線技術を本格的に取組みはじめているようだ。
 NTTなどが考えている、各家庭に直接光ファイバーをつなぐファイバー・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)とはまた異なるFTTHがアメリカでは発展しそうだ。

追加情報:
 昨日のNEWSWatchにて報告したNECのリアルタイム・ソフトMPEG2デコーダーの開発の件だが、Watch編集部から、既に米ZORAN社MediaMatics社が同じような技術を発表済である情報を得た。それも、かなりCPUに負担をかけるので、まだまだPCで使うには実用性に疑問が残るらしい。

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 明日のNEWSWatchは、internetWatch-Webが休刊になるのに伴い、(編集部に協力して)休刊とします。ご了承の程を...m(__)m



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