ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年6月25日版


HEADLINE 3 articles

NTTの国際通信事業展開子会社「エヌ・ティ・ティ国際通信」
郵政省はADSL技術を促進
DTIの大規模収容インターネットユーザー管理システム開発
余談4題:PC産廃物処理提携/KeepUpGoGoGo/海外法人医療基金/インテルの反発


[新会社][国際通信](レベルA')
NTTは、国際通信事業を展開する子会社「エヌ・ティ・ティ国際通信」の設立認可を申請


 日経新聞1面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞11面、そして朝日新聞13面には、NTTが24日、国際通信事業を展開するための「エヌ・ティ・ティ国際通信」の設立認可を郵政省に申請したという記事が掲載されている。今年秋にも他会社から回線を借りて、多国籍企業を対象にした日本発着のデータ通信や専用線サービスを始めるとしており、2000年での売上を50億円と見込むという(控え目な)予測を立てているようだ。
 6月24日のNTTのニュースリリースにもあるように、正式にはNTTが国際特別第二種電気通信事業会社への出資認可申請を郵政大臣に対して出したこととなっており、その100%子会社の本社を東京、資本金を63億円で、サービス内容はフレームリレーや高機能専用線、高品質IPサービスなどを中心としたグローバル・エンドエンドサービスの提供という申請内容となっている。サービス対象地も英、仏、独、ベルギー、香港、シンガポール、フィリピンの予定で、米はFCCの認可が下りてから対象地に入れることとなっているようだ。
 「高品質IPサービス」にOCNなどとの接続サービスなども含まれてくるのは必定と思われるので、この子会社を突破口にして国際メガキャリアへの足掛かりとしていこうとするNTTの意図がハッキリと見えてきたようだ。
 また開始時期は未定ながらも、一般利用者向けの国際電話サービスも検討していることから、既に6月20日にKDDニュースリリースにて表明した、企業向けの国内通信サービスへの参入(6月23日のNEWSWatch参照)ともサービス上でバッティングしていくこととなり、お互いに”控え目”ながらも各々の市場を食い合う時代が到来した事を宣言した形ともなっている。
 この事態に呼応して、郵政省はリリースにおいて、このエヌ・ティ・ティ国際通信会社認可申請についての審査の参考とするために、本件を郵政省1階の掲示板及び郵政省ホームページ、NIFTY-Serve、PC-VAN、Peopleにも掲載し、書面による意見の受け付けを7月8日まで行うこととなったようだ。
 もはや、通信の自由化へ動き出した国内2大キャリアを止めることは出来ないにしても、海外キャリアとも対等に競えるだけの余地を残した審査なり規制が望まれているのは確かだろう。


 




[ADSL][政策](レベルA')(internetWatch-Web参照)
郵政省の「ネットワーク高度化・多様化に関する懇談会」は、NTTに対しADSLの早期導入を促す報告書をまとめた


 日経新聞5面には、郵政省の「ネットワーク高度化・多様化に関する懇談会」が24日、NTTに対し、ADSL(非対称デジタル加入者通信)技術の早期導入を促す報告書をまとめたという記事が掲載されている。今夏に実証実験を実施し、98年春に実用化の前提になる評価結果を下すよう求めているようだ。
 前回の懇談会(リリース参照)でも、CATV事業者とxDSL技術についての検討や、6月24日開催の第3回ネットワークの高度化・多様化に関する調査研究会でこの部会案を報告することを了承するなど、ADSL技術について積極的な議論がなされてきたようだ。
 6月2日のinternetWatch-Webでは、NTTが5月30日に「ADSL実証実験」を報道陣に公開した記事が掲載され、NTTサイドは「全加入者に対して伝送速度を保証してのADSL適用は無理」としたことや、ISDN回線との干渉も大きな問題になるとしているだけに、今後NTT側と郵政側のADSL技術の導入方針での綱引き(駆け引き)が引き起こされるのは間違いない。
 先週のN+I展示会でも、USロボティックス住友電工など数社からADSLモデムが参考出品されたり(6月9日のinternetWatch-Web参照)、住友商事米アミティー(AmitiCommunications)社のADSLモデムの国内販売を始めたり(4月8日のNEWSWatch記事参照)と、国内外の機器が入手可能となりつつある現在、将来の方向性としてFTTH(光ファイバー伝送)のみを追及するとする、単一の選択肢しか伝送方式の未来の可能性を見いだせないような結論には達しないとは思うが...





[プロバイダー][管理システム](レベルB)
○ドリーム・トレイン・インターネットの百万人規模を収容できるインターネットユーザー管理システム開発


 日経産業新聞2面には、三菱電機系のプロバイダー:ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)が9月をめどに、百万人規模を収容できるインターネットユーザー管理システムを開発するという記事が掲載されている。この技術開発プロジェクト:「ドリームプロジェクト」により、百万人のユーザー情報を管理・処理できるアプリケーションソフトなどを開発して、大型認証サーバーに組み込むことで百万人単位の個人のメール番号やホームページ、数万件単位の企業のドメイン情報などが管理できるらしい。ネットワークの運営能力を高めて自社会員に高品質サービスを提供するとともに、中小プロバイダーのネットワーク運営代行サービスも今後手がけるようだ。
 確かにユーザー数が大幅に増えている現在のインターネット業界では、プロバイダーも現有する会員数の百~万倍以上の非会員からのサービス要求などにも応える必要性が上がってきており、その要求に対するサービス提供がスムーズに行われないと、今後のコンテンツ・サービス等による増収も望むべくも無くなり、接続業だけのジリ貧状態に陥りかねないと思われる。こういった事態を解消するためにも、上記のシステムように大人数のシステム構築ができれば、企業と一般ユーザーを結び付けるような広範囲のサービス展開や、ユーザーのデータを蓄積した後にそれを利用した二次的な事業展開など、マスメリットを活かしたサービスを拡充して行けるだろう。
 DTIは、国際ローミングサービスカラオケサービスなどの意欲的な取組みを行っているので、新たなチャレンジとして注目してみたい。




 
余談その1:
   日経新聞1面トップには、NECJR貨物が産業廃棄物処理で提携し、JR貨物が東京貨物ターミナル駅(品川)の用地・建物を提供、NECが国内最大級の産廃処理施設を建設するという記事が掲載された。PCなどリサイクルセンターも含めて、98年春の稼働を目指すらしい。
 通産省の2000年度をメドに家電メーカーに義務付ける「家電リサイクル法」(6月12日のNEWSWatch余談その1参照)の先回りをして、日本IBMなどもノジマと組んでPCの再生事業に乗り出ている(6月10日のNEWSWatch記事参照)が、それを上回る規模のプロジェクトが動いていたようだ。本気のリサイクル事業が今後は増えてくる、ということの先駆けとなろう。
 
余談その2:
 日経産業新聞3面には、マキエンタープライズが、不適切サイト接続を制限するソフト「KidsGoGoGo」において、不適切サイトのデータ更新を全自動化する「KeepUpGoGoGo」をはじめたという記事が掲載された。既に無料配布を開始しており、7月15日からサポート開始のようだ。
 2月6日のNEWSWatchでこのソフトを取り上げたときには、サイト情報は毎月電子メールを使って更新することになっていたのだが、なかなか自主的に不適切サイトを制限しようという”殊勝な”人は少ないということだろうか。

余談その3:
 日経産業新聞2面には、(財)海外法人医療基金が、現在発行しているニューズレターなどの医療関連情報について、ホームページ発信も始めたという記事が掲載された。これまでの会員企業の担当者あてに郵送する方法では、世界各地に散らばる海外駐在員に情報を周知するのは困難と判断した為で、これまでに発行した「日本語で受診できる医療機関--アジア地域」といった主要な冊子の内容も掲載したようだ。
 海外で暮らしていたり長期海外出張時に、病気になる時ほど不安になるものはないので、今までの会員制度を越えたサービス拡充をインターネット上では期待したい。

余談その4:
 日経新聞11面には、IBMなど11社がモバイル用NCの共通規格「MNCRS」で合意(6月23日のPCWatch-Web及び、昨日のNEWSWatch記事参照)したことに対して、米インテルのクレイグ・バレット社長が24日に東京都内で会見し、「別の規格を作ることは消費者に役立つとは思えない」と反発、既存PCの優位を強調したという記事が掲載された。しかしそこは商売人、1000$以下の低価格PCについては「インテルはMPUの必要なすべての市場に活発に参入している」と述べるにとどまり、インテル製MPUの全体の値下げなどについては名言を避けたらしい。
 PC/NC/NetPCの鍔迫り合いがそこかしこで起こっているが、どの企業も(インテルでさえも)勝者を見抜けないということなのだろう。




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