ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年10月9日


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三菱電機と東芝の海外大容量衛星データ通信事業への出資
米サンと米MSのJavaを巡る係争が各方面に波紋を広げる
余談3題:NTTのエリアプラス・サービス/サーバーいらず/BEST PROVIDERは?



[衛星データ通信](レベルA'
三菱電機東芝は衛星を使った地球規模の大容量データ通信計画「スカイ・ブリッジ」に出資


 日経新聞1面&日経産業新聞24面には、三菱電機東芝が衛星を使った地球規模の大容量データ通信事業に進出するという記事が掲載されている。仏総合電機メーカーのアルカテル・アルストム社が中心になって推進しているスカイ・ブリッジ計画の事業会社「スカイ・ブリッジ」(米デラウェア州)に、各々10%弱(1千ドル:約12億円)づつ出資し、高速インターネットや国際間のテレビ会議サービスなどを手掛けるとしているようだ。
 両社が出資したスカイ・ブリッジ計画は、64機の低軌道移動衛星を打ち上げ、2001年からの高速データ通信サービス提供を目指しており(3月7日のNEWS Watch参照)、今年6月には米ロラール社の同じく衛星を使った高速データ通信計画「サイバースター」(静止衛星3機使用)との共同開発も発表している。(6月20日のNEWS Watch参照)
 これまでNEWS Watchでも衛星を使った次世代の高速データ通信計画を5つ程(米MSボーイング社の「テレデシック」、米ヒューズ社の「SPACEWAY」、米モトローラの「Celestri(セレストリ)」、米TRW社の計画及び、今回のスカイブリッジ計画)紹介(9月9日のNEWS Watch参照)している。しかし、これらの中で何故、三菱と東芝がスカイブリッジに出資したのかが、今後の各計画の展開にも重要なファクターになりそうだ。ヒューズとモトローラは、もともと衛星を自社で作る能力があり、他衛星メーカーへ衛星製作を発注するとは考えにくい。衛星自体の発注も請け負いたい三菱と東芝にとっては、出資し辛い計画と言える。また、テレデシックは840個と打ち上げる衛星数は多いが、まだ具体的な衛星仕様やシステム全体の運用方法など詰めなければいけない部分が多すぎて、計画の実現性も考慮すると出資するには危険性も高いと判断されたのではないだろうか。TRWの計画は、つい9月にFCCに申請されたばかりで、どう推移するか不透明な部分が多すぎるとも言える。以上からすると、スカイブリッジ計画が出資対象として残ることになったと考えられる。

 またスカイブリッジ計画をするアルカテル社にとっても、日本の有力衛星メーカー2社が出資したことで、今後の計画の推進に弾みがつくこととなり、他の衛星計画のタイムスケジュールに追い付くことも可能になったと言えそうだ。インターネット・ユーザーにとっても、この様な高速データ・インフラ整備の急進は望ましいことだろう。



[係争][Java](レベルA'
米サンと米MSのJavaを巡る提訴の件が、各方面に波紋を広げつつある


 昨日のINTERNET Watch Webや今日の日刊工業新聞5面にも掲載されている、米サンが7日に米MSJavaのライセンス違反で提訴した件の波紋が各方面に広がっている。
 日経産業新聞24面(最背面)のビジネスTODAYコーナーでは、『「ジャバ」は譲れず』との見出しで、この件の経緯を解説している。JavaSoft部門の社長は、「JavaでないものをJavaと呼ぶのは許されない」と発言しているのに対して、米MSも7日に早速反論し、「搭載を求められている技術は質が悪く、サポートしたくない」と独自路線で対抗する姿勢を明らかにしたようだ。米ハイテク・アナリスト達は、「かつてのMS vs Appleの戦いに酷似」とか、「MSが主張するPC向けのJavaと、サンが提唱するもっと広範囲なJavaの2つの標準が出来る」などの見方もしているらしい。

 また日経新聞11面には、米サンが今月14日に、日本IBMや日本オラクル、ジャストシステム、ノベル、ロータス、日本ネットスケープ・コミュニケーションズなど主要10社を集めて、Java普及で協力し合う方針を確認するという記事も掲載されている。「100%ピュアJavaイニシアティブ」と称して純正Javaの啓蒙・普及活動を始め、各社は純正Javaを活用した日本語アプリケーション・ソフトの開発やソフト製品の品目充実などに努めるとするようだ。その日は、米サンのスコット・マクニーリー会長も来日してテコ入れを行うようで、来年初めに日本発売されるJava端末「JavaStation」(10月6日のNEWS Watch参照)への各社の協力も取り付けるものと思われる。

 米アナリスト達の見方のとおり、米MSは法廷闘争については今のところほとんど無敵状態なので、このまま争いが泥沼化した場合に勝ち残るのはMSになる可能性は高いだろう。PC上での契約ウンヌンで米サンが注力していると、もっと広範囲なJavaへの開発が疎かになり、2つの標準の擁立さえも怪しくなるかもしれない。情報家電(IA)市場を先に攻めた方が、Javaの将来の普及にとっては良いかとも思われる。(当然、米サンも裏ではそのように動いているのだろうが)
 日本への傾注も、日本の家電メーカーも含めた形での純正Java巻き返しを行いたいとする意向の表れなのだろう。しかし、サン以上に日本の家電メーカーに影響力のあるMSが、その動きを黙って見ているわけもなく、何らかの日本向け対抗策も発してくると思われる。
 サンも会社の未来を賭けているJava(可愛い子供)に関する一件だけに引くに引けない状況なので、この係争は双方の関連企業も巻き込む苦しく長い戦いとなりそうだ。




余談その1:NTTのエリアプラス・サービス9日のINTERNET Watch Web参照)
 日経新聞13面&日経産業新聞5面日刊工業新聞1面には、NTTが3分10円(昼間)の市内料金で電話をかけられる地域を、隣接と20kmまで拡張するという記事が掲載された。8日に郵政相に「選択型グループ料金制」の導入を認可申請しており、12月上旬からサービス開始するらしい。1月から低価格電話サービスを始める東京通信ネットワーク(TTNet)の「東京電話」サービス(9月12日のNEWS Watch余談参照)に対抗するサービスでもあり、月200円支払えば今まで3分20円の料金が半額になるようだ。
 市内にプロバイダーの少ない大都市隣接地域に住むインターネット・ユーザーにとっては朗報だろう。もう一歩踏み込んで、テレホーダイのサービスにまで拡大してくれたら、もっと朗報にはなるのだろうが、NTTとしてはまずは対抗策というところなのだろう。

余談その2:サーバーいらず
 日経産業新聞1面には、米マンゴー社が、サーバーを必要としない情報ネットワーク・システムを構築できるソフト「Medley(メドレー)」を11月から日本で販売するという記事が掲載された。ネッ トワーク上のそれぞれのPCの空きハードディスク容量の一部を供出して、仮想サーバーとして活用する仕組みのようだ。1台がインターネットに接続していれば、他のPCはプロバイダー契約しなくてもインターネットを利用できる機能もあり、情報共有も簡単になるほか、電子メールやファイル管理機能もあるらしい。
 高価なサーバー機を購入できないSOHOなどには、使えそうなソフトではある。このソフトを使えば、サーバー機とその管理者が不要になるとも思えるのだが、各PCが並列な状態に接続・管理されているだけなので、例えばインターネット接続されたPCなどがサーバーの管理機能に近い作業をすることにはなるだろう。

余談その3:BEST PROVIDERは?今日の調査結果
 日刊工業新聞5面には、コンサルタント会社の米テレチョイス(ニュージャージー州)が行った、インターネット・ユーザー調査の結果が掲載されている。調査は、サービスの信頼性やパフォーマンス(遅滞やパケット・ロス、渋滞等)、技術支援、価格などに対するユーザーの評価をまとめたもので、ビジネス向けプロバイダーとしてはUUネット・テクノロジーズとAT&Tワールドネットが、信頼性・パフォーマンスで高い評価を得、首位を分けたらしい。3位以下はGTE/BBNプラネット、MCL、スプリント、PSIネット、ネットコム、アースリンク、コンピュサーブ、AOLの順で、ユーザーが選択時に最も重要視するのは信頼性、次いでパフォーマンス、技術支援となっており、価格はあまり重視されていないようだとなっている。
 やはり、安かろう悪かろうというところは、敬遠されるようで...(^_^;)



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