1997年10月23日
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●米司法省 vs
米マイクロソフトの訴訟問題、その3
●第一種国際通信事業者の相次ぐ設立
○情報規制緩和
○電子ネットワーク会員総数
余談3題:チャットマラソン/次世代とは/ピッチがピンチ!/休刊のお知らせ
[MS][訴訟](レベルA')
●米司法省
vs 米マイクロソフトの訴訟問題、その3
今朝の各新聞紙上では、この件の各方面への影響の分析を行うなど、段々と落ち着きを取戻しているのを感じる。
まず、昨日のINTERNET/PC
Watch Web既報の件が、朝日新聞11面と読売新聞8面、日経新聞11面、そして日刊工業新聞2面にも掲載されており、公正取引委員会の矢部事務総長の22日の記者会見の模様が記事になっている。OSとIEの「抱き合わせ販売」
は日本の独禁法も禁止しており、矢部事務総長は「OSでの独占力を使って閲覧用ソフトの販売を促進するのは競争政策上、好ましくない。米独禁当局とも連絡を取り合って国内の状況を把握したい」とも述べたとしている。
また日経新聞11面には、米MSのロバート・ハーボルド上級副社長兼COO(最高業務責任者)が22日に都内で日経新聞記者とのインタビューを行ったという記事が掲載され、この提訴がWindows98にブラウザーを統合するという製品計画とは別問題であるとして、次期OSの開発計画に影響を及ぼすとの懸念を否定したとしている。また、司法省との和解への道も否定はしていないが、まずMSがどう対処するかにかかっているともしている。
次に同じく日経新聞11面に、日大法学部の野木村教授のコメントが掲載され、今回の提訴はMSを追い詰めるものにはなっていないと指摘する内容になっている。その理由は、この提訴がWindows95とIEの関係しか取り上げていないとして、司法省がMS陣営に近いホワイトハウスの意向にも配慮した結果だとしている。
そして日経産業新聞1面と22面では、金子NEC社長との短いインタビューの中でもこの件に触れており、Windows98の発売は予定通りなのでNECへの影響はなく、今回は米司法省の独禁法に触れる先例作りが目的で、OSとブラウザーが一体化するのは至極当然と発言している。
折しも今日の日経新聞夕刊の2面には、米コンパックの幹部が「他社製の閲覧ソフトの採用を計画したところ、OS出荷を停止すると宣告された」と司法省に証言していたことが明らかになった(本日のINTERNET/PC
Watch Web記事参照)という記事も掲載され、MSが沈黙する間、他メーカーから噴出する不満や訴えをMSがどの様に押え込むかも、訴訟の行方の鍵を握っていると言えそうだ。
(モグラ叩きの様な状態になる可能性もあるのだが)
[国際通信事業][規制緩和](レベルA')
●第一種国際通信事業者の相次ぐ設立
日経新聞11面&日経産業新聞7面及び日刊工業新聞2面には、郵政省が22日、NTTが申請していた第一種国際通信子会社「NTT国際ネットワーク」の設立を、八つの条件付きで認可したという記事が掲載されている。これを受けてNTTは、今月中に全額出資子会社を設立し、当面はNTTが参画する米中海底ケーブル建設の保有・運営主体として活動させ、営業は99年4月から開始する予定としている。
また同じく日経新聞11面&日経産業新聞7面及び日刊工業新聞10面には、カナダの大手国際通信会社であるテレグローブ(TELEGLOBE)が22日、海外通信業者としたは初めて、自社回線保有の「第一種電気通信事業者」として日本発着の国際通信サービスを来年から開始すると発表したという記事も掲載されている。来年1月に一種事業者への外資規制が撤廃されるのを待って、日本法人のテレグローブ・ジャパンが郵政省に免許申請を行い、国際電話やインターネット向けに海底ケーブルや衛星回線などを提供して、幅広いサービス展開を行うとしている。
来年からの通信の規制緩和に向けて、国内外の企業とも着々と準備を進めているといったところだろう。折しも日経新聞夕刊の1面トップには、KDD、米AT&T、シンガポール・テレコムなど世界の有力通信業者の企業連合「ワールドパートナーズ」に、オーストラリア最大の国営電話会社のテルストラが参加するという記事も掲載されており、KDDも海外通信業者との協力体制を整えつつあるということで、来年からの日本国通信大競争時代の幕開けが近いことを感じさせてくれる。
○情報規制緩和
日経新聞8面には、シンガポール政府が22日、インターネット規制指針を見直し、公共の安全や国防を損なう情報の掲示禁止など政治に関連する文面削除の発表を行ったという記事が掲載された。同国は、過度の情報流入を警戒してアジアで初めて規制策を導入したが、マレーシアなど周辺諸国との情報通信インフラの競争の為、規制緩和に踏み切ったとしている。新指針は11月1日から有効で、掲示禁止情報として、政府への侮辱や離反扇動、裁判制度の批判などの項目を廃止し、ポルノや暴力、人種・宗教対立の扇動の3つを強調する内容になっており、プロバイダーは政府が指定したホームページのみを接続禁止にすれば良いだけともしている。
アジアだけ特別な情報管制を敷くなどという事が、いかに世界の情報スピードから遅れてしまうかということを、やっとシンガポール政府も気が付いたというところだろう。今は(情報の良し悪しは別にして)いかに素早く自由に情報にアクセス出来るかということが、アジアにおいても情報ハブになるための条件と言える。
○電子ネットワーク会員数(本日のINTERNET
Watch Web記事参照)
日経産業新聞2面には、(財)ニューメディア開発協会がパソ通やインターネット接続を運営する企業・団体などを対象にした97年度「電子ネットワーク実態調査」を発表したという記事が掲載された。それによると日本のパソ通とインターネット接続会員の総計「電子ネットワーク会員総数」は約789万4千人(6月末時点で、1万人以上の大・中規模ネットが回答の契約数の合計:約727万4千人と、1万人未満の小規模ネットの有効回答計:約38万人と未回答分の推計:24万人を合計)に上るとしている。
アンケートの回収率は33.8%と悪いのだが、1万人を越えるプロバイダーからは100%の解答を得ており、数字的には確度が高いと言えそうだ。従って10月16日のINTERNET
Watch Web記事及び同日のNEWS
Watchでも取り上げた、「日経マーケット・アクセス」が行なったアンケート「第2回全国インターネット普及率調査」の結果である「今年9月末時点での日本のインターネットユーザーが860万人」という数字の裏付けにもなるだろう。大手プロバイダーの総契約数も人数の多い順にランキングしてあるので、これからプロバイダーを選ぶ場合にも、色々と参考になる調査結果でもある。
余談その1:チャットマラソン
日経産業新聞19面には、パソ通のイントロ(東京)が11月21日、時間無制限の「チャットマラソン」を開催するという記事が掲載された。95年のパソ通サービス(専用のCD-ROMを使い、インターネット経由で接続する)開始以降、毎晩(PM11時から2時間)続けているチャット番組の特別編として企画し、会員に加えて一般からも参加者を募るとしている。参加希望者は11月10日までに運営事務局に届け出る必要があるようで、同社は「48時間以内には終わるのではないか」と見ているともしている。
「48時間以内」などと言われると、意地になって続ける者もでてきそうな気もするが...(それも主催者の思惑かも(^_^;)
余談その2:次世代とは
日経産業新聞6面と日刊工業新聞10面には、NECが22日、インターネット技術を使った次世代システム構築に利用する自社製ソフトやサービス手法を体系化したシステム構築体系「ウェブ・コンピューティング・フレームワーク(WCF)」を発表したという記事が掲載された。2000年にはほぼすべてのシステムでインターネット技術を活用すると予測し、このネット技術を使ったシステム構築技術などをまとめて企業ユーザーへのシステム提案に生かすとしている。
また日経産業新聞8面と日刊工業新聞13面には、ソニーが22日、青緑色レーザーを使い、4時間半の映像を記録できる大容量光ディスク装置の開発を発表したという記事が掲載された。DVD-RAMの約4.6倍に当たる片面12GBの記録容量を持ち、2000年の実用化を目指すとしている。朝日新聞13面などでは、「次々世代録画装置を開発」となっている。
このところ新聞各紙面では次世代とか次々世代とかいう表現が氾濫しており、今年下半期の流行語になりそうな勢いだ。どうもその世代が実現するのは、2000年ということらしいのだが、どんなものだろうか。
余談その3:ピッチがピンチ!
日刊工業新聞9面と日経新聞16面には、DDIポケット電話グループは22日、PHSの月額通話料が1万円を超えると、発信を止めて高額利用を防ぐサービス「セーフティプラン」を98年1月1日から提供すると発表した。申し込みは無料で、高額の料金請求に気をもむ親からの強い要望にこたえたとしている。
折角「ピッチ」とか呼ばれて小中高生にまで親しまれているPHS文化も、行き過ぎる(親にまで負担をかける)と、こんなことから萎んでいってしまうものかもしれない。
休刊連絡:
昨日から頭に広告バナーが入って心機一転、というところではありすが、明日のNEWS
Watchは休刊とさせていただきます。ご了承の程をお願い致します。m(__)m
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