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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1997年12月19日


HEADLINE 3 articles

家電機器修理情報データベース公開
個人向け「サッとネット」サービス開始
情報通信技術標準化連絡会設置
余談3題:携帯電話インターネット国際電話/電子データ保管サービス/NTTのxDSL実験/通信業界再編への思惑/休刊連絡


 

家電機器修理情報データベース公開
 日刊工業新聞1面トップには、松下電産ソニー日立東芝三菱電機三洋電機シャープ松下電工パイオニアビクターNECホームエレ富士通ゼネラルケンウッドヤマハコロナの電機メーカー15社が、インターネットで家電製品の修理に関する情報を提供するという記事が掲載された。販売店向けの公開ではあるが、各メーカーで専用のDBを構築し、各会社や機種に応じたワンポイント修理情報が入手できるとしている。家電製品協会(AEHA)の中で、まず15社が合意し、その合資した統一仕様で98年春頃から三菱ソニー東芝三洋などが開始するともしている。

 家電販売店へのメーカーのてこ入れ索の一つではあるが、このDBの一般への公開も、家電ユーザー向けの次のてこ入れ索(サービス)として望みたい。

編集部注:三菱電機に問い合わせたところ、販売店向けの修理情報データベースのフォーマット仕様が決まったということで、今のところ、インターネットで公開するということは決定していないとのことだ。



○個人向けサッとネットサービス開始8月1日のNEWS Watch記事参照)
 日経新聞17面には、ダイレクトインターネットが来年1月から、個人向けにCS衛星を使ったインターネットサービス「サッとネット」を開始するという記事が掲載された。既に企業向けにはサービスを開始しているが、個人向けには業界初としており、下り方向のデータ伝送速度が400kbps(ユーザーからの上り回線は、既存のプロバイダーに接続する必要あり)のサービスが、利用料が月額64MBまで5,500円、以降1MBにつき100円になるとしている。また12月18日のリリースには、CS用アンテナや受信用ボードなどのセット(DAK)を12月24日から来年1月15日の間に申込むと、定価:14万7,500円から2万円引きになるキャンペーンも行うとある。

 衛星インターネットによる高速回線を個人で持てるような料金に設定してある事は、ユーザーにとっては有り難いことではある。しかし、使用しているCS衛星が日米間の間に浮かぶ米PanAmSat社の通信衛星「PAS-2」ということで、例えばCSデジタルTV放送の「PerfecTV!」で使用している衛星(JCSAT-3)に向ける受信アンテナの方向が異なるため、それとは別のアンテナを設置しなければならず、設備費の負担はまだまだ大きいと言える。
 そういった意味では、PerfecTV!と同じ衛星を使う、来春開始予定のPC向けデータ放送サービス「PerfecPC!」などが、大きなライバルとなろう。


郵政省は「情報通信技術標準化連絡会」を設置
 日経新聞11面には、携帯電話やデジタル放送など、情報通信・放送技術の世界標準規格を巡る主導権争いで、郵政省と内外の関連業界団体が定期的な会合を持つ「情報通信技術標準化連絡会」を設置することが18日、明らかになったという記事が掲載された。今週末に初会合を開き、日本の通信・放送技術が世界標準を握るための課題を議論するということで、通信と放送の両分野をまたぐ横断的な官民の標準化会合はこれまで前例がなかったとしている。郵政省からは、通信政策、電気通信、放送行政の3局から関係する課長・室長など10人強が参加し、民間側は電波産業会電信電話技術委員会などの実務役員・担当幹部に加え、PC分野からMSの古川亨会長が参加するともしている。

 インターネットのような、通信とも放送とも取れるメディアが確立しつつある中で、郵政省としてもそこに何らかの影響力を行使すべきだと考えているのだろう。しかし、最近の米国を中心としたデファクト・スタンダードの決まり方を見ると、市場の流れに任せて決まるケースも多いようにも感じられる。



余談その1:携帯電話インターネット国際電話を
 日経新聞11面と日経産業新聞7面には、携帯電話のデジタルツーカー九州KDDのインターネット接続子会社であるKDD沖縄サービスが20日から6カ月間、沖縄県でインターネット国際電話試験サービスを始めるという記事が掲載された。携帯電話会社とインターネット接続業者の提携は初めてで、通話対象地域も米国とカナダのみなのだが、米国は平日昼間1分70円、カナダは1分80円と、通常の携帯電話からの国際電話(1分350円)やKDD(1分210円)、国際新電電(1分200円)の通話料金より割安になるとしている。

 上記以外にもKDDの子会社のKCOMも12月15日から、格安インターネット国際電話「KCOMスーパーエコノミーフォン」の本格サービスを始めて(12月11日のINTERNET Watchダイジェスト参照)おり、KDDの各子会社がインターネット電話に対して意欲的に取り組む姿勢が見える。これらが、どこまで本格的な商売に結び付くかが、KDD本体にも一番関心がある部分なのだろう。

余談その2:電子データ保管サービス
 日経産業新聞2面には、ケンウッドの物流子会社のケンウッド・ロジスティクスが来年4月から、企業の機密情報を暗号化して保管する電子データ保管サービスを始めるという記事が掲載された。新サービスは機密情報を他人に見られないよう「封書」にする技術に、ケ ンウッドが9月に発売したICカード方式の暗号ソフト「DRANS KENWOOD(ディーランス ケンウッド)」を採用し、1GB当たり月2~3万円の利用料を徴収し、暗号データの形で保管するとしている。

 物流会社だけにデジタル・データの保管や管理も、実際の倉庫で物を出し入れするが如くに扱えるという事なのだろう。最近のインターネットの世界も、セキュリティー破りなどの犯罪も増加しているので、この様なデータ金庫業のような商売の需要も増すのもと思われる。

余談その3:NTTのxDSL実験昨日のINTERNET Watch Web記事参照)
 日経新聞13面&日経産業新聞7面日刊工業新聞6面には、NTTが18日、来年2月から関東と関西地域で既存の銅製ケーブルを利用した高速データ伝送実験を開始すると発表したという記事が掲載された。最大で9Mbpsの伝送速度が実現でき、インターネット接続業者と協力してモニター家庭を約250世帯募集し、98年末まで実験するとしている。

 その他の詳細な内容は、この「xDSLフィールド実験」に関する昨日のWatch記事に掲載されているが、その記事や新聞上にもあった、「実験期間終了を待たずに商用化へ踏み切る可能性もある」という部分が気にかかる。
 今年の夏くらいまでは、xDSL通信はISDN回線への悪影響があるとしていたNTTが、この実験の結果如何では導入に踏み切ることとなろうとは、いかに高速回線への需要が高まっているかということが、分ろうというものだ。

余談その4:通信業界再編への各々の思惑
 日経新聞13面と日経産業新聞7面には、 KDDの西本正社長が18日会見し、トヨタ自動車系のテレウェイとの合併に関して、トヨタ系列とは一線を画すと述べたという記事が掲載された。
 これに対して日経新聞13面と日刊工業新聞9面には、トヨタ自動車の奥田碵社長が同じく18日に記者会見し、KDDテレウェイ合併は事の始まりであり、噂に上がっているDDIとの資本提携もメリットがあれば行うと述べたという記事も掲載されており、通信業界への積極的な姿勢を示していたようだ。

 全く別の場所での記者会見ではあろうが、お互いに激しく牽制し合っているようにも見え、これからの通信業界での主導権争いの厳しさの一端を示しているようでもある。

休刊連絡:
 22日(月)のNEWS Watchは休刊とさせていただきます。ご了承の程、宜しくお願い致します。m(__)m


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