INTERNET Watch Title Click

【業界動向】

ナスダック・ジャパン、モーニングスターまで6社の上場を承認
リスク情報などはWebサイトで開示されず

■URL
http://www.ose.or.jp/data/d_sj_n.html (大証ナスダック・ジャパン新規上場)
http://edwwsv01.ednet.ose.or.jp/investor/top.htm (ED-NET)
http://www.nasdaq.co.jp/ (ナスダック・ジャパン)

 大阪証券取引所は25日、Webサイトを使った金融情報を提供するモーニングスター(4765)のナスダック・ジャパン市場への新規上場を承認した。これにより、5月8日のナスダック・ジャパン市場開設の際に上場を申請、もしくは申請意向だった企業9社のうち、公募・売出しを行なう6社の上場が承認されたことになる。

 公募・売出しを行なわないドン・キホーテ(7532)、デジキューブ(7589)、ホンダベルノ東海(7593)については、6月8日、もしくは9日に承認される模様。

上場予定日 コード 会社名 会社概要 業種 上場審査基準 公募株数 売り出し株数 公開価格決定日 主幹事
2000/6/19 4697
マスターネット
上場会社概要 サービス業 スタンダード 未定 なし 未定 未定
4762
エックスネット
上場会社概要 サービス業 スタンダード 400 600 6/7 大和
4763
クリーク・アンド・リバー
上場会社概要 サービス業 スタンダード 666 234 6/8 国際
4764
デジタルデザイン
上場会社概要 サービス業 グロース 800 100 6/7 大和
7649
スギ薬局
上場会社概要 小売業 スタンダード 100万 10万 6/9 日興
7532
ドン・キホーテ
- 小売業 スタンダード なし
7589
デジキューブ
- 商社 スタンダード
7593
ホンダベルノ東海
- 商社 スタンダード
2000/6/23 4765
モーニングスター
上場会社概要 サービス業 スタンダード 400 600 6/14 大和

 一方、上場が承認された企業の「新規上場会社概要」は、即日大証のWebサイトのデータ集にある新規上場一覧・ナスダック・ジャパン市場にPDFファイルの形式で掲載され、誰でも見ることができる。新規上場会社概要とは、会社の基本的な内容や公募・売り出しの要項などが載っている資料で、いわば目論見書の重要な部分を凝縮したもの。

 新規上場会社概要は、大証に限らず東証などでも必ず作成される。様式もそれほど差異はないのだが、今回のナスダック・ジャパン上場承認企業のものを見ると、通常これまでは掲載されてきた貸借対照表(Balance Sheet:BS)と損益計算書(Profit and Loss Statement:PL)が削除されている。

 これについて、大証では「新規上場会社概要をよりわかりやすく簡略にするためニーズを調査したところ、BSとPLはそれほど重要視されていないことが分かり、検討した結果、ナスダック・ジャパン市場に限らず大証上場の企業に関しては同資料にはBSとPLを掲載しないことにした」と説明している。

 また、Webサイトに掲載されている資料は新規上場会社概要のみとなっている。例えば、東証マザーズでは新規上場会社概要のほかに、「事業の概況等に関する特別記載事項」、いわゆるリスク情報と「直近四半期の業績状況」の二つの資料を同時に開示し、Webサイトにも掲載している。

 リスク情報などの掲載が行なわれていないことに対する大証の説明は「もちろん現物の目論見書には掲載されているが、現段階でWebサイトに掲載する計画はない」と答えており、「Webサイトへの掲載も検討していくが、業績に関しては発表があれば情報開示システムED-NETのWebサイトに掲載される」としている。ED-NETのWebサイトは、誰でも無料で閲覧することが可能。しかし、掲載される情報は過去1週間に発表されたもののみとなっている。

 こういった状況だと、リスク情報や四半期業績、先に述べたBSとPLなどを見たい投資家は、幹事証券に目論見書を見せてもらうか、大証の有価証券報告書閲覧室を訪ねて見るしかない。

 とかくナスダック・ジャパンと比較されやすい東証マザーズでは、開設前からリスク情報を中心としたディスクロージャー(情報開示)の徹底と、インターネットを最大限に活用していくという二つの点を強調してきた。上場希望企業や引受証券会社に対して、新規上場会社概要の作成よりもリスク情報の資料を徹底して作成することのほうを求めてきた感が強い。

 それでも、想い起こしてみると東証マザーズがいざ開設してみると「インターネットを活用したタイムリーなディスクロージャー」という面では力不足だった。ただし、東証は開設前からさまざまな意見を広く求めるといった姿勢をとってきたこともあって、すぐにこれを改めていった。

 大証、およびナスダック・ジャパンもディスクロージャーの徹底についてはこれまで幾度も強調してきた。もっとも、インターネットを活用するという点はあまり述べられてこなかったが。

 ちなみに、米国NasdaqのWebサイトはすでに金融総合情報的なサイトになっている。あまり知らない向きもあるかもしれないが、米国NasdaqのWebサイトは数値情報やニュースなど金融情報が掲載されている一般的なサイトのほかに、プレスリリースやNasdaq 100をはじめとする株価指数の説明等、Nasdaq自身のニュースや市場概要などを集めた「Nasdaq Newsroom」、トレーダー向けの情報を集めた「Nasdaq Trader」の3つのWebサイトで構成されている。なお、ナスダック・ジャパンのWebサイト(大証ではなくnasdaq.co.jpのこと)を見ると5月14日以降更新されていない。

◎関連記事
ナスダック・ジャパンが開設、8社が上場申請し6月19日から売買開始
ナスダック・ジャパン、Applied Materialsなど外国企業の上場を検討

(2000/5/25)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp