■URL
http://www.napster.com/pressroom/pr/Stay.html
http://www.riaa.com/PR_Story.cfm?id=304
米連邦地裁により音楽ファイル交換サービスの差し止めを命じられていた米Napsterに対して、連邦控訴裁判所は28日、命令の延期を認めた。これにより現在もNapsterを利用できる状態になっている。
7月26日、米国レコード協会(RIAA)から音楽著作権の侵害行為に関して訴えられていたNapsterは、サンフランシスコ連邦地裁からサービスの仮停止命令を受けていた。命令は、「28日までに大手レコード会社が著作権を所有する楽曲の削除をするように」というものであったが、Napsterは27日、命令を不服として控訴していた。
今回の命令延期についてNapsterでは、「Napsterの技術は、アーティストも消費者もすべての人々を音楽に巻き込むことができる。新しい技術で新たなモデルを確立できれば、両社がWIN-WINの状況になれる。Napsterはそれを熱望している」としている。一方のRIAAは、「(命令の延期は)残念なこと。地裁の命令が明らかになった後もNapsterによる日に何千もの著作権侵害行為が起きている。我々は、最終的に著作権侵害行為が止む日が来ることを期待している」としている。
なお、調査会社の米Gartner Groupは、今回のRIAAの訴えと地裁のサービス仮停止命令について、興味深いコメントを発表している。Gartner GroupのフェローStephen Bradley氏は「(Napsterの)利用者が音楽を違法コピーしているのは明白だが、レコード会社は何を訴えていくかについてよく考えなくてはならない。人気のあるNapsterを停止させるという短視眼的な欲望によって、彼らはオンライン音楽の流通を全く制御できなくなるだろう。Napsterであれば、会社と経験のある経営陣、そして2,000万人の利用者が一つの管理された場所にいる。しかし、Napsterが閉鎖されたとすれば、レコード業界は交渉すべき相手が誰もいなくなる。『Gnutella』などの分散ファイルシェアリング構造には管理者も施設もビジネスを行う場所も何もないからだ」と説明している。
Napsterでは、利用者はMP3ファイルがどこにあるかを知るために必ずNapsterが設置している中央サーバーにアクセスして情報を得なければならない。しかし、Gnutellaのようなソフトでは、他のPCに直接接続し、そこからねずみ算式に他のPCの中のファイルを共有していく。この構造では中央サーバーのようなものは全く存在しない。もしGnutellaを使って違法コピーを繰り返す人々をレコード業界が訴えたければ、一人一人の利用者を個別に訴えなくてはならなくなる。これは大変困難な作業となり、Bradley氏はその問題を指摘している。
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(2000/7/31)
[Reported by okiyama@impress.co.jp / taiga@scientist.com]