【業界動向】

米Intel、P2P技術による“仮想スーパーコンピュータ”で医療研究へ

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http://www.intel.com/cure
http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20010403corp.htm

 米Intelと欧米の科学研究団体は3日、数百万台のPCを結んで世界最大規模のコンピューティング環境を構築し、医療研究に取り組むプロジェクトを発表した。インターネットに接続したPCとP2P技術を使って、ハードディスクや演算処理能力を共有し、医療研究に利用できるコンピューティング能力を飛躍的に向上させるというものだ。プロジェクトには、全米癌学会、米国立癌研究財団、英オックスフォード大学、米United Devicesが参加している。

 同プロジェクトでは、ユーザーがインターネットからプログラムをダウンロードして、癌やその他の病気への対処法や治療法の研究プログラムを実行できるようにする。この「仮想スーパーコンピュータ」プロジェクトには数百万人が参加すると見込んでおり、現在の最高性能スーパーコンピュータより10倍優れた50テラフロップスの性能を実現すると予測している。

 同プロジェクトではまず、白血病治療薬の最適化研究に取り組む。アプリケーションはUnited Devicesによって開発されたもので、Intelのサイトで無償配布されている。アプリケーションは、ユーザーがPCを利用していない空き時間に計算処理を行なう。1つの処理が終わると、通常翌日にはUnited Devicesのデータセンターに処理結果が送られ、同時に次に受け取る新しいデータの要求が送られる。なお、ユーザーのプライバシーとセキュリティは保護される。

 Intelは昨年8月、P2P技術の標準化に向けた業界団体を設立し、P2P技術への取り組みを明らかにした。同社は今後も、P2P技術の有効活用に積極的に取り組んでいくとしている。なお、同様の分散コンピューティング環境としては、地球外文明探査プロジェト「SETI@home」が成功しているが、成功するためには多くのユーザーが関心を持つ課題を選ぶことが重要だ。医療研究分野でも成功するかどうか、興味深いところだ。

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(2001/4/4)

[Reported by hiro@nakajima-gumi.net]


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