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【通信事業】

NTT東西、最大10Mbpsの光アクセスを月額6,100円で提供
8月より「Bフレッツ」として本格提供へ

■URL
http://www.ntt-east.co.jp/release/0106/010628b.html
http://www.ntt-west.co.jp/news/0106/010628b.html
http://www.ntt-east.co.jp/flets/opt/index.html
http://www.ntt-west.co.jp/ipnet/ip/bflets/

 NTT東日本と西日本は28日、昨年12月より試験提供してきた「光・IP通信網サービス」を8月1日より本格提供すると発表した。ブロードバンド版フレッツという意味で名称を「Bフレッツ」とし、試験サービス時のメニューを変更。4月に発表された「NTTグループ3カ年経営計画」に沿って最大100Mbpsのコースを追加したほか、最大10Mbpsのコースについても月額料金を値下げするなどの見直しが図られた。

 提供エリアは、東日本では、東京都内だけでなく、2002年1月以降に首都圏の3県と仙台市、札幌市、つくば市の一部でも開始するという予定が盛り込まれた。西日本では、今年11月から2002年の3月にかけて大阪市の全収容局をカバーするほか、名古屋市や福岡市など政令指定都市の一部でも開始するとしている。ただし、エリア内であっても、申し込みから開通まで東日本で2カ月程度、西日本で1カ月程度要するという。

 東西いずれもエリア拡大のスケジュールを前倒しした形となるが、今のところ、その他のエリアについての見通しは厳しそうだ。今回の値下げについても「東京都内などであればかなり安くできるのも事実だが、地方に行くとなかなか難しい」(NTT東日本の古賀哲夫営業部長)とし、「現実は、このあたりで需要の出方を見ながら次のステップを考えたい」というのが正直なところだという。消極的に考えているわけではないとしながらも、「フレッツ・ADSLやフレッツ・ISDNのように、逐次、順々(にエリアを拡大する)という形は、かなり難しいのではないか」と見ている。

 各コースのスペックは以下の表の通り。いずれもこのほかに、初期費用として契約料800円がかかる。また、マンションタイプについては、建物内にLAN配線が敷設済みの場合の料金だ。LAN配線がないマンションでは、HomePNAで各世帯に分配するため、別途、工事費として8,100円、HomePNA機器のレンタル料として月額1,200円が必要となる(この場合、最大速度は10Mbpsに下がる)。マンションタイプへの提供は、10世帯以上契約が見込まれることが原則だが、これも「弾力的に対応する」としている。

コース名最大速度工事費月額利用料屋内回線利用料回線終端装置利用料月額費用合計
ベーシックタイプ100Mbps2万7,100円9,000円月額200円月額900円1万0,100円
ファミリータイプ10Mbps2万7,100円5,000円月額200円月額900円6,100円
マンションタイプ100Mbps1万1,900円3,800円3,800円

 なお、Bフレッツはアクセス回線部分のみのサービスのため、インターネットに接続するには、対応するISPとの契約が必要。料金も別途発生する。現在のところ、東日本で17社、西日本で10社が試験サービスに対応または対応を予定しているが、今回の本サービス開始の発表にともない、近日中に各ISPから正式な対応メニューが発表される見込みだ。

 すでにインターネットイニシアティブ(IIJ)が、個人向けダイアルアップサービス「IIJ4U」のユーザーを対象として、Bフレッツ利用のオプションサービスを発表している。月額料金は、ベーシックタイプ向けが7,000円、ファミリータイプ向けならびにマンションタイプ向けが2,000円となっている(いずれも、IIJ4Uの月額基本料金800円は別途発生)。

 試験サービス段階のメニューと比較すると、まず、ヘビーユーザー/SOHO向けの「高スループットメニュー」が廃止されたことになる。高スループットメニューは、10Mbpsの帯域を最大32ユーザーでシェアするコースで、月額料金は3万2,000円だった。これに対し、Bフレッツで用意されたベーシックタイプでは、最大速度が100Mbpsに上げられたにもかかわらず、月額料金は合計1万100円に抑えられている。高スループットメニューが廃止されたとはいえ、スペックを見る限りではユーザーにとって不足はないと思われる。

 一方、もっとも利用が見込まれる一般的なコースについては、10Mbpsを最大256ユーザーでシェアする「基本メニュー」がファミリータイプに移行する形となる。最大速度は10Mbpsのままだが、月額料金は合計6,100円と半額程度に値下げされる。試験サービスでは収容局までの加入者光ファイバーを1世帯あたり1本ずつ割り当てていたが、Bフレッツではこれを複数ユーザーで共有、途中で分岐する方式を取り入れることでコストを抑えたという。

 集合住宅向けのコースについては、試験サービスの「集合住宅向けメニュー」が10Mbpsを最大768ユーザーでシェアするとしていたのに対し、Bフレッツのマンションタイプでは、月額料金はそのままで最大速度が100Mbpsに上げられている。なお、契約料と工事費についてはいずれのコースも変更はない。

 このようにBフレッツでは、料金やスペック目を見る限り、各コースともユーザーにとっては良い方向にに変更されたと言えるが、帯域をシェアするユーザー数について非公表という方針に切り替えられたのが気になるところだ。シェア数を公表することで、スループットについて「逆に誤解をされてしまう」ことがその理由の一つだ。例えば100Mbpsを768ユーザーでシェアするコースでは、1ユーザーあたりの帯域が「100Mbpsの768分の1になるのではないか」と思う人が多いという。しかし、ここまで高速になると「クリックすれば、あっという間に(データが)流れてしまうため、現実はそうはならない」とし、試験サービスでは10Mbpsのうち7Mbpsまで出ていることを強調した。

 ただし、これは加入者の少ない試験サービスでの数値であり、今後、本サービスで加入者が増加した段階でこのレベルを維持できるかが問題となる。ブロードバンドコンテンツが普及すれば、すべてのコンテンツやサービスが瞬時にダウンロードできる容量とは限らない。また、利用スタイルそのものが変わることも予測されるため、将来的に帯域配分を見直す必要性については、同社自身も認めているところだ。

 なお、試験サービスの申し込み受付は6月28日をもって終了したが、試験サービス自体は本サービス開始まで延長されることになった。当初は、試験サービスの提供は6月30日までで、7月にも本サービスを開始する予定だった。しかし、「参議院の選挙がちょうどぶつかった」(古賀営業部長)ということで、本サービス開始を8月に延期したための措置だ。NTT東日本では、選挙時や各国の要人が来日する際には、電話局の工事を一切ストップするのだという。

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(2001/6/29)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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