【特集】


特集 ついに始まったPHS32kbpsデータ通信!

 4月1日からPHS32kbpsデータ通信サービスが開始されてからもう一週間。既に利用している方もいるかと思う。さて今回の特集は、「世間ではかなり騒がれているけれどイマイチよくわからない!」、「周りの評判を聞いてから導入を検討しする」、なんていうあなたのためのもの。32kデータ通信に必要なものからその費用、実際に編集部で体験したレポートまでをお送りする。


目次

32kbpsのPHSデータ通信ってどんなもの?
通信費用はいくら?
32kデータ通信をするには何が必要?
PIAFS対応プロバイダー一覧
PIAFSデータ変換の対応地域
32kデータ通信対応PHS本体/対応データカード一覧
PIAFS対応ターミナルアダプター一覧
32kデータ通信を編集部が体験!



■32kbpsのPHSデータ通信ってどんなもの?


 ショーケンにするか前園にするか、それとも羊や狼の着ぐるみに惑わされるかと、PHSはそのキャリア選びからして難しい。そのうえ32kのデータ通信の開始にあたっては、PIAFS(「ピアフ」と発音)、αDATA32、TAP、PTE、メディア変換と新語・略語のオンパレード。真剣に選ぼうとすればするほど深みにはまってしまいそうだ。まずは、データ通信の方式と用語の整理から始めなければならない。
 この4月1日からPHSを使ったデータ通信は、大きく分けて3つの手段を使って実現することができるようになった。それぞれの特徴とメリット・デメリットを検証しよう。

●みなし通信

 モバイル経験者なら、すでに一度はチャレンジしているはず。端末に内蔵されているイヤホンの端子から音声を取り出してアナログモデムによる接続を行なう方法。 家庭や会社からモデムを使ってデータ通信をする方式の延長上にある。古いユーザー なら、公衆電話に音響カプラをかぶせて通信した記憶もあるはずだ。しかしPHSという特性上、通常のアナログ回線と同等の帯域幅を確保するのは難しく、実用として9.6kbpsが上限といえる。

【メリット】接続先は一切選ばない。通信設定なども家庭や会社で行なうものとなんら変わることなく、標準化されている。特に新しい機器や専用の機器も必要としない。
【デメリット】なんといっても通信速度が遅い。アナログ回線への接続に限定される。

●PIAFS

業界標準規格のPIAFS。「PHS Internet Access Forum Standard」の略称である。これは標準という言葉のとおりキャリアを選ぶことはない。対応端末と専用のデータ通信カード(データ通信カードはそれぞれのキャリアに対応した製品が必要)さえあれば、32kbps(実効29.2kbps)でのデータ通信が可能となる。ただし、接続先となるプロバイダやパソコン通信ホスト局がPIAFSに対応していることが前提となる。この接続先が設置するTAがTAP(Terminal Adapter for PHS)である。アナログ回線の接続先にはPTE(プロトコル変換装置)を介して接続することができるが、その場合10円/分の追加料金が必要になる。

【メリット】なんといっても標準規格。今後の普及に期待は大きい。端末-端末間でのデータ通信ができるのも魅力。NTTパーソナルに限っては、4月いっぱい32kデータ通信にかかるPHS通信料金が無料。
【デメリット】PIAFSに対応していないプロバイダーに接続するにはPTEのメディア変換が必要となるため、料金が高くなる。現在約20社のプロバイダーが対応しているが(「PIAFS対応プロバイダー一覧」を参照)、大手、あるいは大都市圏から設置がはじまるため、地方都市や中小プロバイダの対応時期が読めない。家庭や会社を接続先とする場合にはISDNへの加入とPIAFSに対応したTAの設置が必要になる。

●αDATA

DDIポケットが独自に提供するサービス。すでに昨年の12月1日から14.4kbpsでのサ ービスを開始している。DDIポケットが持つ基地局(ビルの屋上などに設置されている あれだ)にTAやモデムなどを内蔵。PHSと基地局間では独自のエラー訂正などを使ったやりとりを行ない、基地局以降はそのTA、モデムから目的のプロバイダなどに接続を行なう方式。この基地局での変換が「メディア変換機能」である。αDATA32はこの方式に加えて前述のPIAFSも採用し、2つの規格に対応したデータ通信規格の名称である 。
【メリット】アナログ回線の接続先には14.4kbps、現行のTAに対しても32kbps(実効28.8kbps)で接続することができる。αDATA32ではPIAFSにも対応しているので、それぞれを使い分けた活用もできる。
【デメリット】ひとつの基地局で同時に行なえるメディア変換はひとつだけ。もし周囲のだれかがメディア変換方式を使ったデータ通信を行なっていた場合、その終了までは接続することができない。

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('97/4/7)

[Reported by akira-y@st.rim.or.jp / musemac / 編集部]

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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp