ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年3月24日版


HEADLINE 4 articles

松下電器産業の高速検索ソフト・新「パナサーチ」開発
米IBMのデータマイニング技術
デジタル携帯電話の暗号破り
デジタル著作権に対する文化庁の取組み


[検索エンジン](レベルA')
松下電産の高速検索「PanaSearch」

 日刊工業新聞14面及び日経産業新聞3面には、松下電器産業が高速検索ソフトである新しい「パナサーチ」を開発した記事が掲載されている。現在の速度でも、毎秒3億文字と相当速いのだが、それが一気に40倍のスピードになるというから驚きだ。「ヤフージャパン」でも使用されている検索エンジンの様で、今後採用されれば現状の5倍以上の検索速度が得られるという。
 ヤフー程の多数のアクセスがあり、今後もアクセス数が増え続ける事が予想されるサイトでは、この様なソフトを使ったサービスの改善は、絶えず考えていかなければならない命題となってしまう。今のインターネット・ビックバンが収まるまでは、検索の高速化と快適アクセスのための回線の増強はイタチゴッコの様に続けていかなければならず、ディレクトリ・サービスへのアクセス要求の増大とデータ量の蓄積増加に追い付いていく必要があり、宿命とはいえかなり大変なサービスといえる。
 また、上記のヤフー・ジャパンの様に、ヤフーの地域毎の検索エンジンが国毎(言語毎)に違うものを使っていくことになれば、ヤフーの中でも検索速度等による差別化が起こることも考えられる。(快速ヤフーとか、ヤフーサービス・ランキングなどというのも出来るかも...)


[システム][マーケティング](レベルA')
米IBMデータマイニング技術を使ったシステム

 日経産業新聞1面には、米IBMインターネット通販やネット・マーケティング調査のための新システムを開発した記事が掲載された。
 これは、或る意味でマーケティング・エージェントの側面も持つシステムで、3月18日のNEWS Watch記事でも触れたエージェント技術「firefly」とも比較出来る。双方とも、これまで収集してきたデータをマイニング(掘り起こす)して、その関連情報から次のデータを呼び出す技術という面を持っており、各々別のマーケティング調査に対するアプローチ方法を取っているともいえる。双方のシステムとも、データの収集する量が多ければ多いほど、類推されるデータの確度も上がってくるので、或る程度の(高速データ・サーバーによる)力技でのデータ収集と整理が必要となってくる。一般ユーザーが簡単に持ち運び出来る”スマート”なデータベース・エージェントとはいかないが、まずはサーバー側のインテリジェント(高機能で検索などの使い勝手が上がる)化には貢献するだろう。


[携帯電話][セキュリティー](レベルA')
●米国のデジタル携帯電話の暗号破り

 日経産業新聞7面には、米国のデジタル携帯電話システムに使われる暗号方式が破られた記事が掲載された。リアルタイムの盗聴までは出来ないが、携帯電話に打ち込む電話番号やクレジットカード番号などを盗むことは可能なようだ。
 Counterpane Systems社カリフォルニア大学バークレー校が共同で破ったというプレスリリースが3月20日付けで出ており、数分の間に普通のパソコンでアタックが可能であると発表している。
 このところ、こういったセキュリティー破りは、MSのIEやActiveXなどで多々報告されており、やじうまWatchにもよく取り上げられているのだが、ソフトやシステムなどのセキュリティーを上げるためには、ある面で良い意味でのハッキングともいえる。
 しかし反面、この会社も各新聞が取り上げた記事を並べていることからも分るように、あまり名前の知られていないソフトハウスやシステム会社の技術力誇示(売名行為?)のための「セキュリティー・ホール暴き」を行っている様にも感じられる部分もあり、マスコミも大きく取り扱うべきかどうか、そのホールの影響度の大きさを考える時期が来たのではないだろうか。


[著作権][規制](レベルB)
●文化庁の取組み

 日経新聞38面には、文化庁が音楽CDなどに組み込まれた著作権管理情報の改ざんを規制する方策を検討する記事が掲載された。先月の文化庁内の著作権審議会マルチメディア小委員会の報告(INTERNET Watch記事参照)がもうひとつ詰めた物になっていなかったために、新たな検討グループを作るようだ。
 ネット上での音楽などのデジタル・コンテンツの権利についての世界的な取り決めなどは、INTERNET Watchの昨年12月3日付け記事12月25日付け記事、3月5日付けのNEWS Watch記事などでも取り上げられている、世界知的所有権機関(WIPO)での検討結果が規約などに反映されており、今後日本でもその規約が適用されると思われる。この規約に違法行為などの条項を明記するのだから、慎重にも慎重な規制作りが行われるであろうが、取組みの遅れがそのまま、音楽コンテンツなどの広まりへの足枷になるようでは困るので、慎重であっても素速い基準表明もお願いしたい。


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