ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年6月20日版


HEADLINE 3 articles

主要銀行とNTTの電子マネー共同実験
もう一つの衛星高速データ伝送サービス開発
ドイツテレコムの日欧回線サービス
余談3題:ゲイツ会長来日/ISDNサービス/ゲームコンテンツ/


[電子マネー実験](レベルA')
●都市銀行10行と地方銀行約60行と
NTTの電子マネー共同実験


 日経新聞1面トップには、都市銀行10行と地方銀行約60行、NTTが、電子マネーの実用化に向け共同実験を始めるという記事が掲載されている。百貨店などで使えるプリペイドカードと銀行のキャッシュカード、そしてテレホンカードの機能を併せ持つICカードを開発し、98年中に実験を開始するようだ。まず東京の新宿地区で始めるらしい。
 昨年度来、NTTが日本銀行の金融研究所と共同開発していたICカードを使った電子マネーの実験システム(96年9月13日96年9月18日のinternetWatch記事参照)が、カードの機能を拡充させて遂に日の目を見ることになったと言える。これまで、東京三菱銀行など、銀行毎に個別に行われてきた電子マネーの実験(97年2月25日のinternetWatch記事参照)も、これで統合されていくと思われる。
 しかし新聞記事にもあるように、今年10月から3年計画で郵政省が電子マネー実験を計画(5月6日のNEWSWatch記事参照)しており、邦銀の主要行のほぼすべてと百貨店などが参加するとはいっても、2000年の実用化を目指して日本版電子マネーの標準型システムを構築する意向ということなら、98年度中に実験開始などと、悠長なことは言っていられないだろう。
 現に海外からも英Mondexや、蘭DigiCashの電子マネー方式が世界的にも先んじており、日本でも「ecash」を使った野村総研(NRI)さくら銀行共同の実験が6月から始まっている(5月2日のinternetWatch記事参照)ことなどからも、ICカードを使うメリットを活かしたシステム作りが急がれるところだ。


 




[衛星データ通信](レベルA')
米ローラル仏アルカテルは、衛星を使った高速データ伝送サービスを共同開発すると発表


 6月18日のNEWSWatchで取り上げた、米モトローラの人工衛星を使った次世代型の高度情報通信サービス事業「セレストリ」に引き続いて、今日の日経新聞9面には、米衛星大手のローラル・スペース・アンド・コミュニケーションズと仏電機大手のアルカテル・アルストムが18日、共同で衛星を使った高速データ伝送サービスを手がけると発表したという記事が掲載されている。これもデータ伝送を主な目的としており、マルチメディア通信衛星システムの一つのようだ。
 アルカテルの18日のプレスリリースによると、両社はローラルの「サイバースター」構想とアルカテルの「スカイブリッジ」構想(3月7日のNEWSWatch記事参照)を統合し、これにより静止衛星(GEO)3基と低軌道衛星(LEO)64基を使ったデータや映像の高速伝送サービスを実現するらしい。事業総額は51億ドルで、両社はまず、お互いの計画に3千万ドルずつ投資し、99年に一部サービスを開始するということだ。
 前回でも書いたとおり、これもMSやボーイング社が推進しているデータ衛星通信システムのテレデシックへの対抗システムになるもので、これで3方式が入り乱れることとなり、ますます開発競争が激しくなるのは必至だ。インターネット・ユーザーにとっては、どれでもいいから早くインフラの一翼を担ってもらって、高速アクセスを実現してもらいたいところだろう。
 折しも、6月18日には低軌道衛星を使った携帯電話の全世界的通信システムである「イリジウム」(モトローラが推進)の第二回衛星打ち上げも成功し(今日の日刊工業新聞9面に掲載あり、6月18日のIRIDIUMのリリースもあり)、既に軌道上に12個の衛星が回っている事も考えれば、すぐにでもデータ衛星システムも実現可能なような気がしてくるのだが、まだまだ技術的や資金的にクリアしなければならない点も多いのが現状だ。





[プロバイダー・サービス](レベルB)
ドイツテレコムの日欧回線サービス「T-InterConnect」開始


 日経新聞13面には、ドイツテレコムが、日本から欧米への接続時間を大幅に短縮した企業向けのインターネット接続サービス「T-InterConnect」を始めたという記事が掲載されている。日本と本国ドイツのドイツテレコムとの間に2Mbpsのインターネット回線を開設し、独経由で欧米に接続することで混雑している日米回線を回避し、日欧間でのインターネット通信需要を取り込むのがねらいのようだ。64KbpsからT1(1.5Mbps)までの専用線接続サービスを用意しており、APが東京、横浜、大阪にあるほか、名古屋にも開設予定のようで、日独間の接続時間は米経由より約2/3程度に短縮されるらしい。
 確かに今まで西欧諸国のHPを見るときでも、KDDの回線経由で太平洋を越えてアメリカ西海岸に辿り着き、そこから米大陸を横断して、東海岸から大西洋を越えてアクセスする場合、日米間の回線渋滞に巻き込まれて相当遅くなっているケースが多いのだが、欧州支店など持っている企業・組織にとっては、データの伝送高速性を求めるユーザーに有効なサービスとなろう。
 先日も、神戸市が欧州のテレコム会社と協力してAPを開設し、国際通信事業に乗り出す件が新聞記事になっていたが、一般ユーザーへ開放されるようなサービスに発展することを願いたいものだ。




 
余談その1:(昨日のPCSWatch及びNEWSWatch記事参照)
   日経新聞11面には、米MSのビル・ゲイツ会長が19日、都内での日経新聞記者のインタビューにこたえ、企業向けの情報関連市場で主導権を握る戦略を展開することを明らかにしたという記事が掲載されている。
 また同紙面のニュース解説には、MSが次の照準を企業を舞台に誕生する巨大な電子商取引(EC)市場としたという記事も掲載されている。
 はたまたこの件と関連して、同紙面と日経産業新聞7面及び日刊工業新聞9面には、NetPCメーカーのほとんどがTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減ソフト技術である「ゼロ・アドミニストレーション・ウィンドウズ」(ZAW)構想や、MSの「ゼロ・アドミニストレーション・キット」(ZAK)に賛同すると表明したことまで掲載されている。
 彼一人来日しただけでこの大騒ぎなのだが、私は何故WindowsWorld展示会の1週間前に来日したのかが気にかかる。来日すればそこら中で引っ張りだこになるので、展示会講演どころではないからなのか、それとも幕張メッセは遠すぎるのか?(^_^;)
 
余談その2:
 日刊工業新聞8面と日経新聞13面、日経産業新聞7面には、NTTは19日、公衆回線によるVPN(仮想専用網)サービス「メンバーズネット」をISDNに拡大するという記事が、また日経新聞13面と日経産業新聞7面、日刊工業新聞9面には、テレワイズ等のアナログ公衆電話で行っているサービスをISDNに拡大するという記事が掲載された。
 56kbpsモデムやADSL技術の出現で、デジタル回線を普及させてきたNTTにも危機感が増してきた為のサービス拡大第一歩と考えられそうだ。次のステップも期待したい。

余談その3:
 日刊工業新聞8面には、ウィンドウと百舌鳥伶人公司は阪急電鉄ネットナビの協力を得て、インターネット上にゲームマガジン「GAMER'sVIEW」を20日創刊するという記事が掲載された。
 昨日のNEWSWatchなどの記事にもあるように、コンテンツが良ければ課金できるシステムが確立しつつあるので、ベンチャーだろうが個人だろうが、良い物のところにはお金や援助がより集りやすくなりそうだ。窓の杜しかり!NEWSWatchは...?




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