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第15回:メール編(4)「騙しメールを見破るために」その一例


 話の流れとしてはメールヘッダの話をする予定だったが、今回は筆者に実際に届いた騙しのメールをサンプルに使って「メールヘッダを知るとこういうこともわかる」という話をしたい。


騙しのメールの実例

落札を逃した翌日に届いたメール。割とアリガチな内容だが、やや引っかかるものがあった
 Yahoo!オークションは現在、落札後のやり取りを取引ナビという(出品者と落札者しか使えない)掲示板で行なっている。なぜかというと、メールで出品者を名乗った騙し、騙りが横行したからだ。

 取引ナビは最近になって実施されており、以前から騙しが多いという話は聞いていた。その実例をつい最近体験したので、それを紹介するとともに「どうやって見分けるか?」というポイントを紹介したいと思う。

 筆者はソフトバンクモバイルのスマートフォン「X01T」を入手しようと考えていた。スマートフォンは、普通に店頭で購入するとかなり高額なので、Yahoo!オークションで中古を購入することにした。いくつかの候補をピックアップして入札したところ、2番目で落札を逃した。

 その翌日朝、「他人が落札しているが、いたずらなのかまったく応対がない。代わりに買ってもらえないか?」といった内容のメールが届いた。(以下無関係な部分や相手を特定する項目はモザイクを入れてある)。


メールヘッダにはかなりの情報がある

メールヘッダを詳しく見たところ、gooメールなのは問題なさそうだが……
 さて、このメールは真実だろうか? 筆者はメールの内容や連絡手法から、ニセメールと判断した。

 まずおかしいと判断したのは、連絡手法がフリーメール(gooメール)だったことだ。Yahoo!オークションのルールでは、最高値落札者と連絡が取れなかった場合、2番手の落札者を繰り上げる処理が一般的で、この通知はYahoo!が行なう。

 現在は、取引ナビによって出品者といえど落札者のメールアドレスはわからない仕組みになっている。筆者の場合、Yahoo!オークションIDとYahoo!メールアドレスが同じであると、当たりをつけて騙しメールを送ってきたと思われる。しかし、すべてのユーザーがYahoo!オークションIDとYahoo!メールのアカウントを同じにしているとは限らないことから、疑いを持つ要因といえる。

 また、落札されたものの応対がないということもよく聞く話だが、このメールが届いたのは落札時刻の9時間後で、待ったというには早すぎる。これも疑いを持つべきだろう(特に書いてない限り、落札後24時間は待つのが一般的だろう)。メールでは急いでいると書かれている。ならば、出品の際にその旨を入れておくべきだ。

 最後は連絡の経路だ。フリーメールの場合、サービス運営者のメールサーバーを使っていれば、ある程度信用できると考えている。筆者のケースでは、gooのメールサーバーを介して送られてきている。つまりまっとうな送信で、この点に関しては問題ないように思える。サーバーはgooメールのものを使っており、サーバーの証明もある。


そのメールを投函したIPアドレスは中国管理のものだった。日本に住んでいるはずの人が中国から送る必要はまったくないはずで、ニセメールと判断した
 ところが「アクセス元」を見ると大問題がある。gooメールのメールヘッダには、Webメールにアクセスした際のメール発信者のIPアドレスが含まれている。そのIPアドレスがどこの国で管理されているかを確認したところ「中国」と出た。

 その人がアクセスを偽装するために中国を経由したのかどうか、本当に中国からアクセスしたかはわからないが、オークションの取引にこのような方法を使う必要性はまったくない。

 疑いの可能性を持ったところでさらに本文を見ると「振込先払いのみ」と「水曜日からいなくなる」という文面も気になった。振り込みさせておいて届かず、問い合わせをしても無返答か「出張先で対応できません」と言われる可能性が高いと感じた。

 この例はかなり典型的なパターンで、本文だけでも「ツッコミどころ」が多いが、「神奈川に住んでいるはずの人が中国のIPアドレスからメールを送っている」という情報がメールヘッダから得られることで、さらに疑いを濃厚にすることができた。

 ということで、次回はそのメールヘッダに関してさらに詳しく語る予定だ。


先週の気になったセキュリティニュース(4/30~5/4)

感染Webサイトが急増、ソフォスの2008年第1四半期の脅威レポート
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/01/19427.html
 有名サイトの改竄が多いのはどこも指摘しているところだが、「どのようにしたらリーズナブルにWebのメンテナンスが行なえるか?」がWeb管理者の頭を痛める問題だろう。

欧州のFirefoxシェア、フィンランドで45.9%など5カ国で4割超
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/01/19417.html
 「CSI SX 2008」での講演でも、デモで使われているブラウザはFirefoxがほとんどだった。講演者の好みもあるが、スクリプトをホワイトリスト方式で許可できるNoScriptプラグインの存在が大きいように思える。

カード無断使用は「カード会社の対策不十分」として請求を棄却、長崎地裁
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/02/19440.html
 以前ならカード番号と有効期限を電話で伝えるだけで使えたこともあるので、ややカード会社にとっては厳しい判決だが、カード暗証番号や3Dセキュアなどの防御手段もあるので、これらを加盟店に使わせる努力も必要なのではないか?



2008/05/07 11:14
小林哲雄
中学合格で気を許して「マイコン」にのめりこんだのが人生の転機となり早ン十年のパソコン専業ライター。主にハードウェア全般が守備範囲だが、インターネットもWindows 3.1と黎明期から使っており、最近は「身近なセキュリティ」をテーマのひとつとしている。

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