| セキュリティベンダーの米Zone Labsは11日、個人向けパーソナルファイアウォール「ZoneAlarm 4.5日本語版」の無償提供を開始した。本誌ではリリースにあわせて、米Zone Labs社コーポレート・コミュニケーションズマネージャのCorey Bridges氏に同社の戦略を聞いた。
 
 ● すべてのパケットを“悪いもの”として、疑って検査している 
ZoneAlarmはクライアントPCのパーソナルファイアウォールに特化したソフトウェアで、無償版の「ZoneAlarm 4.5日本語版」と有償版の「ZoneAlarm Pro 4.5日本語版」、管理ソフト「Zone Labs Integrity」の3種類が同時リリースされた。| 
 |  | Zone Labs社コーポレート・コミュニケーションズマネージャのCorey Bridges氏 |  
 ZoneAlarm 4.5の特徴を、Bridges氏は「すべてのパケットを推定有罪にしているところ」と表現している。“推定有罪”とは、PCに出入りするすべてのパケットを“悪いもの”として疑ってかかっているというのだ。
 
 したがって、ZoneAlarmインストール後は、Webブラウザやメールソフト、メッセンジャーなど、一般的に良く使われるアプリケーションに関しても、最初の起動時には、「このアプリケーションがインターネットに接続して良いか?」といった警告メッセージが表示される。また、外部からの通信に関しては、ポートをすべて“ステルスモード”にし、返信しないことによって、PC自体の存在を隠す手法を取り入れている。
 
 こういった“推定有罪”の方針を採用していることによって、ユーザーは導入時アプリケーションを起動するたびに警告文に対して対応しなければならなくなる。しかし、この機能によって、必要のないポートを閉じることが可能となり、安全性が格段に増すと同氏は説明している。
 
 ● ファイアウォール分野に新規参入であるMSのファイアウォールはOFFにすべき6月から7月頃にリリースされるというWindows XP SP2では、デフォルト設定でパーソナルファイアウォールが有効にされる。これによる影響を聞いたところ、「複数のパーソナルファイアウォールを有効にすることは推奨できない」と語った。「Windowsのパーソナルファイアウォールを利用するのであれば、ZoneAlarmは利用するべきではない」という。 
 しかし、Bridges氏は「マイクロソフトはパーソナルファイアウォール分野に関しては、かなりの後発会社である。セキュリティは各分野において、最も有能なソフトを利用すべきだ」と語り、「同じ無料ソフトを利用するのであれば、Windows XP SP2のパーソナルファイアウォール機能をOFFにして、ステルスモードなどを搭載し、機能に勝るZoneAlarmを利用すべきだ」とした。
 
 実際にBridges氏は、Windows XP SP2ベータ版に「ZoneAlarm Pro 4.5」と「Symantec Norton AntiVirus」を組み合わせた環境を利用しており、Windows XPとNortonのパーソナルファイアウォール機能をOFFにして使用しているが、ウイルス「Sasser」発生時はポートを閉じていたために被害を免れたという。
 
 ● 無償でパーソナルファイアウォールを配布するビジネス的なメリットとは?また、無償でパーソナルファイアウォールを配布するビジネスモデルに関しては、「利用ユーザーをとにかく増やして、ブランドイメージを向上させたい」といった目的があるという。 
 数カ月後には、Windows XP SP2が無償で配布されることから、これに先立ち、機能に優れたパーソナルファイアウォールソフトを無償で配布することにより、利用ユーザーの拡大を目指し、最終的にはブランドイメージの向上や有償版への切り替えを狙うとしている。
 
 Bridges氏は、「日本はブロードバンド環境が異常なスピードで整っており、パーソナルファイアウォールに対するニーズは確実に高まっている。ZoneAlarmを初めて利用したユーザーは、そのログの多さから“いかに自分がインターネットを介した攻撃を受けているか”に気付くだろう」と説明し、「実際にユーザーに利用してもらうことによって、ブロードバンドの危険性にも気付き、高機能のパーソナルファイアウォールを利用して欲しい」と語った。
 関連情報
 
 ■URL
 Zone Labs
 http://jp.zonelabs.com/
 日本の問い合わせ先Webサイト
 http://www.ahkun.jp/product/zap.html
 
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( 大津 心 )
2004/05/11 20:04
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